コロナより前から変わっていた。気学が示す「特異点」の正体
気学は占いじゃない、とぼくは思っている。宇宙と地球と人間の動きを総合して「時代の流れ」を読む手がかりだ。その読み方は、コロナが来るよりずっと前から、ある転換点を指し示していた。
三気学という見方
ぼくが「三気学」と呼んでいるのは、天の気(十干)・地の気(十二支)・人の気(九星)を組み合わせて読む方法です。造語なので、ふつうはこうは呼びません。十干と十二支は人間の外側、環境や時代にある気。九星は人間の内側にある気。この三つを重ねることで、今どんな局面にいるかが見えてくる、という考え方です。
経営に置き換えると少し近い感覚があります。外部環境(市場・競合・規制)と内部環境(人・組織・資金)を別々に読んでも全体は見えない。両方を重ねて初めて「今どこにいるか」がわかる。気学の読み方は、その自然界版に近い気がしています。根底にあるのは陰陽五行の思想ですが、そちらの話はまた別の機会に。今回はひとつだけ。「気学が実際に何を教えてくれたか」です。

シンギュラーポイントとは何か
気学では、2017年から2019年を「世界のシンギュラーポイント」と見ていました。コロナが来るより2〜3年前のことです。
シンギュラーポイントとは「特異点」のこと。今までのルールが通じなくなる、質の変化を伴う転換点を指します。水の例がわかりやすい。0℃でいきなり氷が水になります。100℃で水が蒸気になります。「少し温度が上がった」という量の変化じゃない。状態そのものが変わる。それが特異点です。
予知と予測はちがいます。予測は「このまま行けばこうなる」という延長線上の話。予知はもっと根本的な、流れそのものの変化を読む。気学はコロナという出来事を指定したわけじゃない。「その時期に質的な大変化が起きる」と読んでいた。コロナは引き金のひとつに過ぎなかった、というのがぼくの見方です。
変化の正体、二つ
コロナ狂騒曲が鳴り止んで、もう1年以上経ちます。「前と後で世の中が変わった」という声はよく聞く。でもぼくは少しちがう見方をしています。変わったのはコロナのせいじゃなく、変化はコロナ以前から始まっていた。コロナはその変化を誰の目にも見えるかたちにしただけ、という感じがしています。
大きな変化は二つあります。一つ目はわかりやすい。デジタル技術が社会の基盤を塗り替えたことです。リモートワーク、キャッシュレス、あらゆる手続きのオンライン化。コロナはその速度を上げたけれど、方向そのものは前から決まっていた。
意識したくない、もう一つの変化
二つ目の変化は、日本ではあまり正面から語られません。意識したくない、という方が正確かもしれない。それは、日本がいろんな分野でたくさんの国に追い抜かれつつある、ということです。経済でも、技術でも。過去に引きずられてあまり意識されていない、というのが正直なところです。
ただ、これを単純に「悪いこと」と断じていいのかどうか、ぼくは迷います。例えば、こんなことを想像してみてください。ある会社が規模は小さいまま、地域に根ざして独自の仕事を丁寧に続けているとします。売上では大手に勝てない。でも、その会社の「存在の意味」は数字だけで測れるものじゃない。日本という国も、似たような問いを突きつけられているのかもしれません。
経済が進展して社会が発展することは、無批判にいいことと言えるのか。「追いつき追い越す」ことが目的だった時代の基準で、今を測っていないか。立ち止まって考えてみる必要がある。ぼくは正直、まだ答えが出ていません。
自社に置き換えると
あなたの会社は今、どの「状態」にいるだろうか。量の変化(売上が少し増えた、人が少し増えた)の局面なのか、それとも質の変化(事業の土台そのものが揺らいでいる)の局面なのか。あるタイミングから急に採用が難しくなった、これまで通じていた営業手法が効かなくなった。そういう経験はないでしょうか。それは単なる「量の変化」ではなく、環境の質が変わっているサインかもしれません。
自社の変化を振り返るとき、コロナや景気のせいにする前に、2017年から2019年の間に何が起きていたかを確認してみる価値があると思います。あの時期、あなたの会社で最初に変わり始めたのは何だったか。その変化は今も続いているか。続いているなら、それは「今までの基準で対応できる変化」なのか、それとも「基準ごと見直す必要のある変化」なのか。
時代の流れを読むことは、正確に未来を当てることじゃない。今どんな局面にいるかを知ることです。そうするとあわてなくなる。少なくとも、ぼくはそう使っています。
・文 杉岡 茂(初出:逍雲夜話 2024年9月「気学の力 1」を再編集)
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