事業承継の進め方 相談から引き渡しまでの流れと期間

「事業承継を考えているが、何から手をつけたらいいか分からない」「相談するにしても、いつから動けばいいのか」。周南市で経営者の相談を受けていると、こういう声を本当によく聞きます。息子さんに継がせるのか、従業員に譲るのか、それとも会社ごと譲渡するのか。決める前の段階で止まっている方が多いです。この記事では、事業承継の進め方を、相談から引き渡しまでの流れに沿って順番に説明します。あわせて、最初の相談で何を持っていけばいいか、誰に相談するのが向いているか、スケジュールの目安もまとめました。

事業承継はいつから動き出せばいいのか

結論から言うと、早いほど選択肢が残ります。事業承継には後継者を探す時間、株価を整理する時間、取引先や金融機関との関係を引き継ぐ時間がかかります。準備には3年から5年、後継者育成まで含めると10年近くかかるケースがあると言われています。2026年時点での目安なので、実際の年数は会社によって変わります。

目安としては、経営者が60代に入ったタイミング、もしくは「あと10年でリタイアしたい」と考え始めたタイミングです。もっと早くてもかまいません。40代後半から準備を始める方も増えています。人手不足で現場が回らなくなってから慌てて動く方も少なくありませんが、その状態では買い手が見つかりにくくなります。

「まだ早い」と感じても、相談だけは先に済ませておくことをおすすめします。実際に動くのは1年後でも3年後でもかまいません。今の会社の状態を一度整理しておくと、いざというときの判断が早くなります。

早く動くほうがいい理由は、選べる相手の数が減っていくからです。後継者候補がいなくなってから探し始めると、社内でも社外でも候補が限られます。買い手を探すM&Aも同じで、会社の業績が下がってからでは、買い手は増えません。早い段階で相談していれば、親族内承継、従業員承継、社外への譲渡、廃業も含めて、いくつかの選択肢を比べながら決められます。時間が経つほど、比べられる選択肢そのものが減っていきます。

最初の相談で何を持っていけばいいか

最初の相談で何を持っていけばいいか、迷う方が多いです。結論から言うと、決算書3期分と直近の試算表があれば十分です。細かい資料は後から揃えれば大丈夫です。決算書からは、売上や利益の推移、借入の状況がひと目で分かります。株主名簿や、株を持っている人の一覧があれば、なお話が早く進みます。株が分散している会社は、承継の前にここを整理しておく必要があるからです。

資料が完璧に揃っていなくても、相談自体は今すぐできます。「後継者が決まっていない」「株価もわからない」という状態でまったく問題ありません。むしろ、その状態で相談に来る方がほとんどです。相談の場で、何を準備すればいいかを一緒に洗い出していく流れになります。

事業承継は誰に相談すればいいか

事業承継の相談先は、大きく分けて金融機関、商工会議所や商工会、M&A仲介会社、税理士の4つがあります。それぞれ得意な部分が違います。

金融機関は、普段から融資でつきあいのある取引先です。会社の資金繰りを把握しているので、資金面の相談はしやすい相手です。ただし、後継者探しやマッチングまで踏み込んで動いてくれるとは限りません。商工会議所や商工会は、公的な相談窓口として、無料や低い費用で相談に乗ってくれます。まず何から始めればいいか整理したい段階に向いています。M&A仲介会社は、後継者が社内にいない場合の、社外への譲渡を専門に扱います。相手探しから交渉、契約まで一貫して伴走してくれるのが特徴です。税理士は、株価算定や税務面の相談に強い相手です。長年の顧問税理士がいる場合は、まずそこに相談する方も多いです。

どこか一つだけに相談すればいいわけではありません。税務は税理士、相手探しは仲介会社というように、段階によって相談先を使い分けることになります。最初にどこに相談すればいいか迷ったら、普段から数字を見てもらっている税理士か、公的な窓口である商工会議所に相談するところから始めるのがやりやすいです。

相談から引き渡しまでの流れ

事業承継の進め方は、大きく分けると次の順番になります。

まず現状整理です。誰に継がせるかを決める前に、会社の数字と株主構成を整理します。次に、親族内承継か、従業員承継か、社外への譲渡(M&A)かを決めます。M&Aを選ぶ場合は、会社の概要をまとめた資料を作り、相手候補を探すマッチングの段階に入ります。

相手が見つかったら、トップ同士の面談を経て基本合意を結びます。ここから、買い手側が会社の中身を細かく調べるデューデリジェンス、いわゆるDD(財務・法務・労務の調査)に入ります。問題がなければ最終契約、そして譲渡実行(クロージング)です。中小企業のM&Aでは、相談開始から成約まで半年から1年程度かかることが多いです。

クロージングで終わりではありません。引き渡し後、取引先への挨拶、従業員への説明、業務の引き継ぎが続きます。この期間はPMI(統合後の引き継ぎ作業)と呼ばれ、半年から2年ほど見ておく必要があります。ここを軽く見ると、せっかく成立した承継がうまく回らなくなることがあります。

全体の期間をあらためて整理すると、現状整理から相手探しまでが数か月、交渉から契約までが半年から1年、引き渡し後の引き継ぎが半年から2年ほど続く、というイメージです。準備の期間まで含めると、動き始めてから完全に落ち着くまで数年単位でかかることになります。だからこそ、早めの相談が効いてきます。

親族内承継と第三者承継で流れはどう変わるか

事業承継の流れは、誰に継がせるかによって分岐します。子どもや親族に継がせる親族内承継と、社外の会社や個人に譲る第三者承継(M&A)では、進め方が変わってきます。

親族内承継の場合、後継者はすでに決まっていることが多いです。流れの中心は、株の移転と経営の引き継ぎになります。株を贈与するか、売買するか、相続時に渡すかによって、税務の扱いが変わります。ここは税理士に相談しながら進める部分です。あわせて、後継者に取引先や金融機関との関係を引き継ぐ時間も必要です。社長の顔で成り立っていた信用を、少しずつ後継者に移していく作業になります。

第三者承継の場合は、まず相手探しから始まります。会社の概要をまとめた資料を作り、候補先とマッチングし、トップ面談を経て基本合意、デューデリジェンス、最終契約という順番です。社内に後継者がいない会社や、従業員に継がせるだけの体力がない会社が選ぶことが多い流れです。

従業員承継は、この中間にあります。後継者は社内にいますが、株を買い取るだけの資金がないケースがほとんどです。金融機関からの借り入れや、株の一部を経営者に残す形など、資金面の工夫が必要になります。どの流れを選ぶにしても、最初の相談の時点で全部を決める必要はありません。進めながら、途中で選択肢を変えることもできます。

株価算定は非上場でもこうやって進める

非上場企業の株価算定は「うちみたいな会社に値段なんてつくのか」と聞かれることが多いです。上場していなくても、決まった計算方法があります。代表的なものに、純資産を基準にする方法、同業他社の株価と比較する方法、将来の利益を基準にする方法があります。どれを使うかは会社の状況によって変わります。

算定のタイミングは、相手を探し始める前です。自社の値段の目安がないまま交渉に入ると、相手の提示額が妥当かどうか判断できません。決算書3期分と、直近の試算表があれば、おおよその目安は出せます。

ここは税理士や中小企業診断士など専門家の領域になる部分もあります。RYDEENでは算定そのものを代行するのではなく、必要な資料の整理や、専門家に相談する前の準備を一緒に進めるところまでを支援しています。

準備段階でつまずきやすいところ

事業承継の準備で止まりやすいのは、経営計画と資金繰りです。後継者や買い手は、今の数字だけでなく、この先3年から5年の見通しを見ます。経営計画の作り方に決まった型はありませんが、売上・粗利・人件費の推移を数字で示せるようにしておくことが最低限必要です。

資金繰りの改善も同時に進めておく必要があります。借入が多いまま承継すると、後継者や買い手の負担が重くなります。銀行融資の相談は、承継を考え始めた早い段階で一度しておくと、金融機関側も準備の状況を把握してくれます。返済計画の見直しや借換えの相談は、承継の話を進める前に済ませておく方がスムーズです。

もうひとつ、原材料費や人件費が上がっている今、価格転嫁の進め方も見直しておきたいところです。取引先との価格交渉を先延ばしにしたまま承継すると、新しい経営者が最初から利益の薄い状態を引き継ぐことになります。

引き渡し後にやること

契約が終わった後も、やることは残っています。従業員への説明は、契約が固まってからできるだけ早いタイミングで行います。取引先への挨拶回りも同様です。急に社長が変わったと聞かされると、取引先は不安になります。

業務の引き継ぎは、口頭だけに頼らないほうがいいです。属人化している業務や紙の書類でしか残っていない情報があると、引き継ぎに時間がかかります。日頃からのペーパーレス化や記録の整理は、承継の直前に慌ててやるより、数年前から少しずつ進めておく方が負担が軽くなります。

引き渡しのタイミングで、屋号や社名を変えるかどうかも決めておく必要があります。長年の顧客との関係を考えると、名前を残すか変えるかで、その後の営業のしやすさが変わってきます。

自社に置き換えると

ここまで読んで、自分の会社ではどうかを考えてみてください。今の株主構成と決算書3期分は、すぐに出せる状態でしょうか。後継者候補は親族・従業員・社外のうち、どれを軸に考えていますか。借入と返済計画は、あと5年、10年先まで見て無理のない水準でしょうか。答えが出なくても構いません。まず整理してみることが最初の一歩です。

合同会社RYDEENでは、事業承継・M&Aの相談を無料で受けています。仲介の場合は初期費用50万円(税抜)、成功報酬は譲渡金額の10%から・最低100万円(税抜)で、成立しなければ成功報酬はかかりません。まずは今の状況を一緒に整理するところから始めましょう。

よくある質問

事業承継の相談は無料でできますか?

商工会議所や商工会、公的な事業承継の支援窓口は、無料で相談できることが多いです。金融機関も、取引のある会社であれば無料で相談に乗ってくれるケースがあります。M&Aを仲介会社に頼む場合は、初回相談は無料で、契約後に着手金や成功報酬がかかる会社が一般的です。費用の仕組みは会社によって違うので、最初の相談で確認しておくと安心です。

事業承継の相談はいつから始めればいいですか?

早ければ早いほど、選べる選択肢が増えます。経営者が60代に入ったタイミングや、10年後のリタイアを意識し始めたタイミングが一つの目安です。40代後半から準備を始める方も増えています。後継者や株価がまだ決まっていなくても、現状を整理する相談だけ先に済ませておくのがおすすめです。

事業承継のスケジュールはどれくらい見ておけばいいですか?

準備段階だけで3年から5年、後継者育成まで含めると10年近くかかることがあります。相手探しから契約までは半年から1年、契約が終わったあとの引き継ぎにも半年から2年ほどかかります。会社の規模や後継者の有無によって、この期間は変わります。余裕を持ったスケジュールで動き始めることが大事です。

事業承継のコンサルはどこに頼めばいいですか?

相談する内容によって、向いている相手が変わります。税務や株価のことなら税理士、資金繰りのことなら取引のある金融機関、相手探しから契約までを一貫して頼みたいならM&A仲介会社が向いています。何から始めればいいか分からない段階では、商工会議所などの公的な窓口や、仲介会社の無料相談を使って全体像をつかむところから始めるとやりやすいです。

中小企業の、味方でいたい

周南の9人の若者が、地元の中小企業の現場に入って一緒に考えます。若者・バカ者・よそ者の会社です。

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