うちの仲間  

社長の意識 シーズン3

 経営資源については、「ヒト」「モノ」「カネ」の三要素だと長い間考えられてきました。近時は4つ目の要素が急速な勢いで加わってきました。「ジョウホウ」です。これまでは経営環境の一つだったジョウホウがもうけになる時代がきました。時代の流れの急激な変化の中でジョウホウが重要なことについては前回までに説明してきました。でも、中小企業にとって最も大事な要素は昔も今もやっぱりヒトです。

とくに今は「人口減少」が急激な速さでかつ大きな規模で、この国をおそっています。われわれは世界で一番早くこのことを経験します。「人口減少」はつまり「少子高齢化」を意味しますので、社長さんにとっての問題は、若い労働力がどんどん少なくなっていくことです。これはとても深刻な問題ですね。時代の変化に追いつくためにDXに取り組もうにも、ITがわかるヒトがいなければ手も足も出ませんね。今の社長さんは内向きの仕事を誰かに任せて、会社の外に出て情報に直に触れて時代の流れを肌で感じることが大事です。何もするにもまず第一番目の仕事はヒトです。

 人口減少や少子高齢化によって労働人口が減少するといっても、一方で現在の労働市場には今までとは違う動きが生まれています。労働市場が流動化しています。働く人たちのマインドの変化を写しているのでしょう。一言で言うと、「大きな会社に就職して退職までずっと同じ会社で勤め上げるなんてのはムリムリ」って。こういう空気は、若い人たちばかりでなく中途採用の労働市場にも伝染しています。社長さん、チャンスがきましたね。この変化をキッチリものにしましょう。ここで自分の会社にとっていいヒトを獲得することに成功した会社は、あっという間にライバルを追い抜き今後の20年は安泰でしょうね。ヒト探しは社長さんにしかできない仕事です。

すべての仕事の中でヒト探しを優先すること

  • 会社の外に出て、自分の足で自分の仲間を探すこと
  • 自分の会社にとっての仲間ってどんなヒトかを真剣に考えること

まずは①ヒト探しについて。大海に躍り出て海賊王になろうとする「ワンピース」のルフィのように、自分で仲間を探さなければなりません。そしてルフィのように何をしたいかがはっきりしていること、仲間は絶対に裏切らないことが大事ですね。今の時代、健康経営を考えることも人探しの有効な手段かもしれません。いずれにしてもひと探しを、自分は会社の中にいて外部の業者に任せているようじゃ、いい人材を獲得することはできません。いい人材がどこにいるかをじっくり見定めて、自分で足を運ぶことです。大学や高校なんかいいですね。

次は②うちにとっていい人材について。これ、結構むずかしいことですよ。「いい人材がおらんのよね」ってぼやく社長さんいっぱいいますよね。「いい人材」って?と聞くと「優秀な人材」といいます。ここで線路が急にあらぬ方向に転換してしまいます。世間でいう優秀な人材というのはいい学校を出て専門の学問を修めた優秀なヒトのことですが、中小企業にそんなひとは必要ないですよね。そういう人材は大企業が求める人材です。社長さんはあくまでも、「自分の会社の仲間にしたいヒトは誰か」ということを考えましょう。ほんとに真剣に考えるときです。

文章 杉岡 茂

写真 伊丸 綾