つ、ついに鳳徳館はじまる



 令和2年7月18日土曜日、ついに私塾「鳳徳館」が始まりました。事業者の子弟を対象にした私塾です。10歳から20歳くらいのティーンエージャーに、「未来を生きるよりどころとしての歴史」を考えてもらうというコンセプトで始めました。そもそもは、弁護士の通山和史くんが「子供相手の塾をやりたい」「学校教育では教えないことをやりたい」と以前からずっと言い続けていたところ、それならRYDEENの活動の中で社長さんの子弟を集めて、将来のリーダーを養成する塾をやろうということになったのです。最初から偏りの予想される展開です。 

 というわけで、館主の座には、「殿、民に御徳育によるお恵みを!」と口説いて、徳山毛利藩第一四代当主の毛利就慶氏に座っていただきました。お殿さまの次はお神さまの御加護がわれわれ草民にはどうしても必要です。で、遠石八幡宮の宮司黒神直大氏に参加していただきました。黒神くんは高校の一つ後輩ですから、ぼくに言われれば「イエス」か「はい」しかありません。とってもかわいそうですが仕方ありません。さらに地元山口出身で徳山大学卒のスーパーウーマン津田紅音さんに事務局に着いてもらって、鳳徳館は船出したというわけです。

 第一回目の講師は館主の毛利さんで、毛利家のことについてそれから毛利さんご自身のことについてお話しいただきました。毛利家および毛利さんご自身の誇りと名誉のため、内容をここに書くことはとてもできませんが、まあ面白かったですね。当日は8歳から18歳までの若い男女5人が集まりましたが、この子たちは相当強いインプレッションを受けて帰ったと思います。毛利さんのお話は学校で教えてもらうようなことでなく、自分の頭で自分のルールで考えていいんだという毛利さんの想いが伝わったようです。「あ、こんな大人がいて、こんな人たちでもちゃんと生きてるんだ」ということがちょっとでも伝わったと感じています。

 大人にとっては文句なく面白かったですね。親御さんもわれわれ主催者側も…「何を伝えたいか」ではなく「どう伝えるか」が大切なんですね。毛利さんは、8歳のお子さんにわかってもらえるような話ができるだろうかと前日は一睡もできなかったそうです。せっかく子供や若い人たちが来るのに役に立たなかったらどうしようと、本気で悩んでおられるのがはたから見てもわかりました。当日もエアコンの効きすぎた会場にも関わらず汗だくになってお話ししていただきました。いい大人が子供のために、あたかも真剣を持った勝負のように、慎重にそして大胆に。いや相手が8歳の子供だからかもしれません。いずれにせよ、毛利さんには失礼になるかもしれませんが、本当に誠実で慈悲あふれるお人柄に触れることができました。これが毛利の家か!これが本当の意味で歴史に触れるということなのかもしれません。

 おじさんたち一所懸命で頑張るから、優くんこれからも稽古つけに来てね!

文章 杉岡 茂

写真 伊丸 綾