やっと終わった

 「社長の意識」シリーズやっと終わりました。かなりの力作じゃないかとひそかに思っています。今という時代は、中小企業の社長さんにとってホントに大事な時代です。この時代を大チャンスが来た面白い時代だと思うか大変な時代だと重荷に思うか、まずはそこからです。これから数年の社長さんの思いと舵取りいかんで会社が成長するか衰退するかが決まります。この時代、このままずっと同じ調子というのはありません。何もしなければ必ずジリ貧になっていきます。中小企業の「会社力=社長力」ですから、社長さん一人の決断と実行にかかっています。

 中小企業は気まぐれな不特定多数の株主さんのゴキゲンを取る必要はありません。社員さんのことを十分考えることができます。中小企業は最初から最後までヒトです。社長さんのやり方一つで、今後社員さんが豊かな人生を送れるか、いつまでもキツい仕事を続けて疲弊していくのか、ここが分かれ道です。なかなか気づいてくれる人がいませんが、RYDEENの見るところ、中小企業はいろんな意味で、大企業よりも大きな成長エンジンを持っています。社長さんのやり方一つです。

 シリーズが終わって、社長さんの会社経営にあたって一番大事なことは何だろうか、と考えています。正解は分かりませんが、鍵は「想像力」つまりイメージする力にあるんじゃないかと思っています。自分の腹に落ちる独創的な経営の理念や戦略を考えるには、どうしても何かを自分の頭の中でイメージするつまり想像するところから始まるように思います。そういう意味では個性と言ってもいいかもしれません。逆にイメージがなければ動き始めることができません。そして、この「想像」のリミッターをはずすことができたら、激動の時代を楽しむことができるのでしょう。「るろ剣」の登場人物はそれぞれの立場で、自分の想像のリミッターをはずして、あの激動の時代を楽しんだのだと思います。

 「想像」を考えるときに注意すべきことは、情報に対する態度だと思います。「想像」は自分の頭や心で、自分流に考えたり感じたりすることです。一番良くないのは、自分の周りにある外の情報に振り回されることです。もちろん、一定の基本的な情報は必要だと思いますが、「想像」に必要な情報は実はそれほど多くありません。情報をたくさん集めることよりも、今という時代をしっかり見つめて、自分の頭で考え自分の心で感じることです。

 そしてリミッターをはずすためのコツは「今はまだ」と考えることです。常に上を向いて進むことです。できない理由を並べると何もできなくなります。「今はまだ」と考えることで前に進む力が湧いてきます。今から何をしたいのかを考えて、今はまだできてないけどどうやったらできるかを一所懸命に考えることだと思います。

 自分の頭と心で考え感じるためには「慎独」が必要です。自分一人の時間と空間を大事にすることです。会社や家族から独立した時間と空間をどうやって持つか、毎日10分でも20分でも「自分だけの場所で自分一人で」考えることです。周りの声にまどわされることなく、自分の声を聞くことです。自分はこの事業を通じて何がしたいのか、誰の役に立ちたいのか、どう役に立ちたいのか、こんなことから考えてみませんか。

文章 杉岡 茂

写真 伊丸 綾