エンタープライズ

 エンタープライズという言葉は今や死語かもしれません。今の言葉で言うとアントレプレナーですかね。日本語で言うと、企業家精神とか起業家精神とかいうことでしょうね。もっと広く冒険心と言ってもいいかもしれませんが、ぼくの好みは「進取の精神」という言葉です。早稲田大学の校歌に出てきますよね。とにかく新しい時代に挑むことです。

 RYDEENは社長さんの会社経営に必要な「社長力」の筆頭に「機動力」を掲げています。「機動力」というのは、動き出す力です。人間でも機械でも動き出す瞬間にとても大きなエネルギーを必要とします。「さあ、やろう」と思わない限り人間は動き出しません。この「さあ、やろう」が大事です。つまり身体が動き出す前に精神が動くことが必要です。この精神のことを覚悟とか勇気とか言います。

 人が何かの目標に向かって進むときには、目標を立てたら設計図を作り材料を集めて後は実行することです。この実行の時に決断をすることになりますが、その時に覚悟とか勇気という精神の力を必要とします。そしてこの覚悟とか勇気を持つためには、「この世のことに正解などない」ということを知ることだと思います。正解なんてないと思えると、正解などないのだから失敗もまたないのです。常に成功なのです。こういう心境になるとなんでも始めることができますね。

 そしていよいよ実行の段階です。いったん始めたら、後はNever Give Upです。中小企業の事業を長年見守る立場にありましたが、もう少しがんばって続けてたら成功したのにと思うことがしょっちゅうあります。先を見て自分を信じることができないとNever Give Upはできません。言うは簡単ですが、とても難しいことだと思います。でも、もう少しやってたら成功してたのにと思うことはほんとによくあります。

 この時代の変化は想像することが難しいほど大きな変化です。マイナーチェンジではなく、文字どおりフルモデルチェンジです。世の中のルールが根本から変わろうとしています。このようないろんな面のルールの変化を楽しむ経営ができるといいですね。レガシーの破壊とかサクセストラップの克服とかいろいろに言われますが、つまりは過去の自分を喜んで捨て去ることです。

 地球上で最も長く繁栄した生物は、最も能力のある生物でも最も体力のある生物でもありません。一番環境変化に適応できた生物です。周りの変化に合わせて自分を変えることができるかどうかです。成功体験のある人が自分を変えることは難しい。今この国はこのことで没落しているようです。ここから抜け出さなくてはなりません。動き出す力つまり機動力を持つこと、過去の自分の殻をすぐに脱ぐこと、これがエンタープライズの正体なのでしょうね。

文章 杉岡 茂