バンド


2週間後にわが「HELP」のライブがあります。
「HELP」というバンドは、高校の同級生が中心となって活動しているバンドで、数年に一度のペースでライブをします。このバンド自体は1972年に結成されましたが、ぼくが参加してから12年になります。44歳でバンド活動をはじめた計算になります。

最初はほんの興味程度で、ステージの上で多くのお客さんの前で歌を歌うってのはどんなもんかなと思ってはじめたわけです。もう還暦が目の前のここまで続いてるっていうのはなんでなんだろう?

まずは音楽の世界には、素人がやる分には競争がないってことです。つまり、純粋に楽しいということ。こういうことってありそうでありません。人と自分を比べるところに幸せはありません。そして、他人との競争も苦しいことですが、もっと苦しいのは自分と競争することだと思います。競争のない世界の豊かさとぜいたくさを、こどもたちに伝えたい、これが第一の思いです。

人が歌を歌ったり絵を描いたり文章を書いたりするのは、誰かに何かを伝えたいからでしよう。やむにやまれず描いた絵や、やむにやまれず歌った歌は、自分の中の何ものかを何とかして伝えたかったのでしょう。その伝えたいことって何だろうということを考えたり感じたりすることは、単に本を読むよりも深くって面白いんです。こんな歌を作ったり歌ったりした人ってどんな人なんだろう、どんな人生を送ったんだろうとか考えることは、人類の歴史を学ぶことの基礎だと思います。

そして、誰かと何かを一緒に創り出すことの幸せ!自分一人で創り出すことも楽しいことにちがいありませんが、誰かと一緒に創り出すのはもっと楽しくって幸せなことです。自分だけでできないことができたり、自分の予期しないことが起こったりすることへの驚き、そしてその予感や期待に対するときめき。こういうことは、先行きがゆらぎ放しのライブな感覚の中で起こることです。人一人の意思や努力によっては得ることができなもの、こういうのを「天籟」というのでしょう。わかったようでわからない人生の上で、この天籟こそ幸せの正体のような気がします。そしてこれが希望へとつながるのでしょう。希望は未来にあるものではなく、今あるものです。それを求めてバンドをやっているような気がします。

こういうことを教えてくれたバンドのメンバーに感謝、合掌。。。