中国



 とある友人が「今の中国の勢いを見ると、中国の野望に日本国は飲み込まれてしまわないか心配なんよねえ。」と… 「日本国」と言うあたり、彼はまっとうな日本人ですから、このつぶやきを真面目に考えてみましょう。

 まずは中米貿易戦争と日本では言われていることです。これは単純な貿易戦争ではありません。断末魔のアメリカにこれほど気を遣って「忖度」しなければならない理由が僕にはわかりませんが、いつものようにマスコミはことの実体を隠そうとしているようです。アメリカがソ連と戦った「冷戦」は軍事力のガチンコでした。アメリカは膨大なカネをつぎ込んで、ついにはソ連を倒したのです。冷戦の最終局面では、この軍事力はハイテク兵器に完全に依存するようになりました。無人の戦闘機で局地的に爆撃攻撃するのです。

 そう、おわかりですよね。中国はそのIT技術を総力をあげて磨き、アメリカが長年にわたって築き上げたハイテク技術を横取りするか、少なくとも無力化することを考えているということです。今さら巨額の費用を投じて一から軍事力を持つよりも、ペンタゴンをハッキングして乗っ取れば、思うままにハイテク兵器を使うことができると考えてもおかしくなしですよね。とても効率的で合理的な考え方です。「核」が抑止力になるのかどうかはいまだにわかりませんが(この点については、かわぐちかいじの「沈黙の艦隊」を読むと少しヒントになるかも…)、今や「IT」が「核」の代わりを果たしているのです。世界外交の現場における「抑止力」というのはぼくの知る日本語の単語に直すと「おどし」になると思いますが。ま、アメリカの考えにしろ、中国の考えにしろ、ぼくにはとても賛同できる考え方ではありませんが、今の中米のやってることを虚心坦懐に見るとこんな感じですかね。

 そんな両国と両国のライバルであるロシアの三超大国に挟まれたこの日本国、どうなるのかと心配する友人の心配はとても大事な心配です。日本国民はもう少しでいいから、朝鮮半島と日本国のいる場所といる時代を考えないといけないような気がしています。とくに、中国という隣国が力を持ってきた今、日本国の最も近しい国であるだけに、今後の舵取りは難しいことになりそうです。

 しかし、わが日本国にはあるいは日本国民には素晴らしい技があります。曖昧とかどっちつかずとか言われながら、われわれは「わ」という世界一の武器を持っています。「わ」は、「和」でも「輪」でも「環」でも「倭」でもいいのです。そして、「結ぶ」という世界一の技を持っています。つまり、結んで輪にして端をなくすことが美徳であるという生きる知恵を知っています。善悪とか勝ち負けをきっちり分ける人たちからみると、私たち日本人は確かに曖昧でよくわからない人たちかもしれません。でも、私たちは何百年もかけて漢字を見事にひらがなにした歴史を持っています。すごいですよね。結論は「勝つと思うな、思えば負けよ。」勝負して勝ち負けをはっきりさせることに目的を定めなければいいと思うのです。

 ちなみに「中国」という国名は20世紀に生まれた名前であって、それ以前の国名は英語ではChina日本ではシナですが、なぜか今はシナと言ってはいけないことになっています。僕は、長い隣国の歴史の中でいろいろなものを日本国にくれたこの国を、伝統的な呼び名で愛したいと思っているのですが…