会社の経営

経営と一言に言っても、いろんな会社の経営があります。そして、経営者と言えば、もっといろんな経営者がおられます。僕は、「同族経営の中小零細企業の経営者」をサポートするのが自分の仕事だと思っております。上場企業やそれに準ずる大規模の会社は私の守備範囲ではありません。したがって、会社法や税法などの法律にしても、賃金体系や組織体系などの人事にしても、その他諸々のことにしても、同族経営の中小零細企業に関することは、全てをサポートしたいと思っていますが、大きな会社のことは、思い切っていいますと、さっぱりわかりません。

 

僕は、約20年前に、公認会計士のおじがやっていた会計事務所に弁護士として入って、そこで初めて「経営」というものに直面することになりました。おじは、会計や税務申告はもちろん、経営相談にも応じていろんなサポートをしておりましたが、そのおじは平成7年に、つまり今から17年前に急逝しました。その瞬間に、僕は正直困ったわけです。多くの顧問会社を引き継いだわけですが、法律の勉強ばかりやってきたわけですから、会社の「経営」を知らなかったのです。さて、何をしなければならないのか、それすらわかりませんでした。

 

その時から、僕の悪戦苦闘は始まりました。自分も小さいながら事業の経営者として、そして、顧問先の経営の相談を受ける身として、「けいえい」を勉強せねばなりません。いろんなとこへ行き、いろんな人に会って、勉強を始めましたが、僕が相談を受ける企業は同族経営の中小零細企業がほとんどです。しかし、この「同族経営の中小企業」が、この国では、ほったらかしになっていることに、その時初めて知ったのです。本を読んでも、研修を受けても、それは大企業向けのものばかりで、「中小企業」向けのものはほとんどなかったし、さらに、「同族経営」の中小企業向けのものは皆無に近いものでした。

 

そこで、僕は、自分の顧問先会社の経営者の二世つまり後継者となるべき人たち(僕とほぼ同世代で、ほとんど後継直前の人たち)数人に声をかけ、「夜話塾」なる勉強会を立ち上げました。一緒に経営を勉強する趣旨で始めたのですが、僕は「先生」と呼ばれる立場です。やっぱり、自分がリードしなきゃかっこ悪いわけです。「何とかならんもんか!」と苦悩する僕を見透かしたように、去年他界した僕の少し年下の盟友が、「先生、こんな人がおられますよ」と紹介してくれたのが、日本経営合理化協会の牟田学先生でした。そして、牟田先生のご講義を4年間にわたって聴講させていただきました。今でも、年に一度は牟田先生のご講義を拝聴して、元気と知恵をいただいております。

 

牟田先生の教えは、すっと僕の腹の腑に落ちて、「これだ!」と思いましたが、少しだけ身の丈が合わないと感じたのです。僕がお相手させてもらってる顧問先の会社よりも少し大きな会社が対象なのです。そこで、僕の仕事は、自分が関与する会社に対して、牟田先生の教えを翻訳して伝えることだと思い、以来、夜話塾を通して、若い経営者や後継者の皆さんに、牟田先生の教えと、それから少しばかり成長した僕の経営に対する考えを、お伝えしております。