大雪 二十一 / 二十四節気

新暦で12月7日ころ。

 大雪という季節の名前ですが、日本においてはまだ雪が深くなる時期ではありません。太平洋側ではむしろ晴天が続くことが多いのですが、それでも冷たい北風が強くなってきます。新年を迎えるしたくを始める「正月の事始め」は12月13日で、この辺りから煤払いなどの年末の大掃除をはじめるようです。

 中国のことわざでは「冬に入って補えば、春になって虎を打つ」と言い、大雪は「補い」の好機です。「補う」とは不足を満たすとか埋め合わせをするとかいう意味です。破れたところやほころびたところを休めたり修理したりするって感じですかね。夏の無茶をちょっと休んで力をためて養生しましょう。冬は寒く腎陽を消耗しやすいので、この時の養生は温を補って陽を助け、腎臓の壮骨を補って陰の益精を養います。

 この時期は、なんといっても抜け毛と冷えです。命絶えるまで毛髪は生え変わるのですが、腎気が弱ることで髪は減っていきます。薄毛の予防にはこの時期の養生が大切です。そして冷え防止が一番です。冷え対策として腰を回すことが有効です。骨盤の歪みを治し流れをよくすれば、腎気は高まります。ぬるま湯の入浴もいいでしょう。そして、夜早く寝て遅く起き睡眠を確保することで、陽気を養い陰精を固めるというのが基本です。

  この時期の食べ物はなんといってもかき、ねぎ、寒ブリです。かきは精をつけ不眠を直します。ストレスによる亜鉛不足の現代人には必須の食物とされます。ネギは体が温まり気管支にも効きます。気分を発散させる効果があって鬱やストレスの改善に効きます。気の流れだけでなく血の流れもよくします。

  大雪の導引式は主に足の少陰経筋を伸ばします。足の少陰経筋は足の小指下から始まって、踵の内側を斜行して足内側の後に沿ってのぼり陰部に至り、脊椎に沿って上り後頭骨で結びます。息を吸う時は両手を握って両側に広げ、腹を縮めて左足を裏まで縮めます。吐く時は左足のつま先を内掛けし、右足の右前方に下ろし、両手を緩めて腹の前で交差させて、足の少陰経筋をねじり引き上げます。自分の状況に合わせて左右数回繰り返します。

文章 杉岡 茂