地球儀を買って、地球儀を見てみましょう。グローバル化に対して何らかの態度を取らなければならないのは自明のことで、自分の態度をどうするか考えるなら、まず何を置いても地球儀を見ることから始めましょう。子供さんにグローバルな人間になってもらいたいと思う人も地球儀を買ってあげてください。地球儀をじっと眺めているといろんな発見があります。人よりも早く何かを発見することは会社の差別化の大きな要素です。チャンスはいつの時でもあなたの中にあります。打つ手は無限にあります。実際に行けない時にも、頭の中は常に冒険です。
地球の陸地は大きく分けてユーラシア大陸、アフリカ大陸、アメリカ大陸の3つのパートに分かれます。このうち、最も古くからそして最も早く発展してきた大陸はユーラシア大陸です。今のアメリカ合衆国の勢いからするとアメリカ大陸も古くから発展していた国のように感じますが、大きな発展を迎えたのはヨーロッパからの移民が始まった約300年前からです。
さて、そのユーラシア大陸というのは、ヨーロッパとロシア(この2つの地域の名をとってユーラシアといいます)をはじめ、中東、インド、東南アジア、東アジアのパートに分けられます。日本という国はその中の最も東に位置する極東Far Eastの国です。つまり、もうその先は太平洋であって、いわば世界の果てです。その世界の果てにはいろんな文化や文明が、西の方から伝わってきて、いろんなものが貯まってきました。シルクロードを伝わってヨーロッパのものも来ました。インドで生まれた仏教も、中国で生まれた儒教や道教も来ました。仏教や儒教はすでに生まれた国にはありませんが、日本はこれらを今も大事にしています。中東の色合いがあまり濃くないのがどういう理由なのかわかりませんが、日本の今後にとっては今後の課題でしょう。
極東という地理的な要因によって、いろんな地域のこれまでの優れた文明や文化を大事に残している国、それが日本という国です。我々日本人はこのことを誇りにしていいのではないかと思います。端っこの国でいろんなものが伝わってきているからこそ、いろんな国や地域のことを理解できる国だと思います。このような日本という国の特性を、今発揮する時がきたのではないでしょうか。グローバルでインターナショナルな時代に、様々な国や地域の調整の役を買って出ることで国際社会の役に立つことのできる国だと思います。「あいまいな国」と言われながら、逆にそのことが日本の強みだと思うことが大事なことのように思います。
これをもう少し経済的な目で見ると、いろんな文化や文明によって作られたものを統合・結合する力が日本人の力になるのではないかと思います。今世界は激動の時代を迎え、新しい技術やサービスが生まれ、生まれようとしています。残念ながら何かを作り出すことにおいては少し遅れをとっているように思いますが、作り出されたものを使って新しいものを作り出していくことはとても上手な国民だと思います。とくに身近なものを作る「もの作り」に新しい技術や考え方をのせることにおいては、日本人の右に出るものはいないと思います。そして、このことは大企業よりも中小企業の方がはるかに得意なことに思います。一番大事なことは、世界のいろんな文明や文化を取り入れて残すことに努力をしてきた国であるという誇りを持って、これからも世界で生まれる素晴らしいものやことを結んでいくという自覚を持つことだと思います。
文章 杉岡 茂
写真 伊丸 綾