前回は「失敗の本質」について書きましたが、今回はその続編です。20数年前の日本は、数字の取り方にもよりますが経済的に世界で一番豊かな国でした。それがこの20年あまりのうちに30番目より下になってしまいました。平成の時代という時代はとても苦難の続いた時代でした。なんせ日本史上初めてデフレを経験したのですから…
失敗の続く日本の今をながめると、まず、政治の世界も経済の世界も年寄りの権威者リーダーが多いこと。そしてとくに経済の世界において、そのリーダーが彼らのやり方を変えようとしないこと。彼らの時代における彼らのやり方はまぎれもなく成功です。しかし、遅くとも西暦2000年ころからは時代の潮目が変わったのです、完全に! にもかかわらず、彼らはやり方を変えようとせず、しかもその間に日本は世界一の長寿国になったことで、年寄りになっても彼らはリーダーに君臨したままです。もちろんその「彼ら」にぼくも入りつつあります。
彼らは自分たちのやり方・成功法則に自信をもっていますから、今もそのやり方を続けようとします。たとえばDX。AIやクラウドコンピューティングなどはこの5年で普及しつつある新しい技術であるにもかかわらず、時代遅れのベンダーさんやSEさんなるものにDXを丸投げして任せようとします。うまくいくわけがないですよね。今のデジタルの世の中は、新しい「技術の開発よりありものを使う」ことです。
そして、彼らに続く下の世代も理屈・理論を専攻させて、経験・歴史を軽視したこと。学校秀才はこの傾向が強い。戦後の70年でこの国はさらに学歴偏重の世の中になったけども、学歴は可能性でしかないのです。実際に何ができるのかということと学歴は直結しないというシンプルなことを忘れてしまったのは大きな失敗でしょうね。今のデジタル時代は、考えることも大事ですが、やってみることが一番大事です。
見る前に跳べ!
文章 杉岡 茂