ヒトの問題

 YMFGからRYDEENに来ている増野くんが、先日の鳴神OB会において、RYDEENのメンバーでは初めてゲストスピーカーの大役を果たしました。お疲れさまでした! その時のテーマは、中小企業のバックヤードの強化ということで「ヒト」の問題です。これ、今RYDEENが最も力を入れている課題です。中小企業は一から十までヒトですから…

 今現在中小企業の社長さんが一番力を使うべきことは、ヒトの確保です。とくに参謀になりうるヒトです。わが日本は、世界が人口爆発におびえているそのときに、世界最大で最速の人口減少の時代を迎えています。国内のマーケットが縮小するというような一般的な問題のほか、中小企業の経営環境からいうと次のような事態が起こっています。人口減少によって後継者がいない会社が急増しており、こんな会社を買いやすいなど成長のチャンスが転がっている反面、同じ人口減少という原因で社長の右腕や左腕になる人を確保できない。歯痒いですね。資金調達環境も追い風なのに…

① 世の中の大激動・大転換

 人口減少+国際化+IT革命

② 儲け方の変化 

 インフレからデフレへの転換  

 時間の使い方の変化

 おカネの支払い方の激変

③ 戦略の転換

変化への適応 

 情報収集 変化の正体の探究

④ 戦術の変革

内部体制の転換 

とくにヒト バックヤード

⑤ 事業構造の転換

 ヒト事業⇔モノ事業

こんな感じですかね。

 中小企業はこれまであまりにもヒトに無関心だったような気がします。しかし、この歴史的大転換のときにヒトが採れるかどうか、今後の会社の発展成長はこの一点にかかっています。自分の会社にとっていい人材とはどういうヒトなのか、仲間として迎えたい人を真剣に考えなければなりません。どうやってお客さんを増やしたり利益を増やしたりしようか、ということよりも優先すべきです。採用したヒトがお客さんや利益を考えてくれるという状況を想像してみてください。

 自社に必要な人材を考えるときのヒントです。中小企業の場合、目の前の仕事に関して必要な人材を考えがちで、そこで終わります。これは上の④の場面です。社長さんの仕事の中でも内向きの仕事ですね。でも、経営で一番大事なことは、「戦略が戦術より先」ということです。つまり、③について社長の補佐のできるヒトが今必要です。経営の参謀が必要です。外向きの仕事です。外向きの仕事を手伝ってくれるヒトを、少し背伸びしてでも採ったら会社は自然と成長します。何せ、社長の仕事を勝手に変わってくれているのですから… そのためには「戦術=目に見える課題への対応」から「戦略=まだ目に見えない課題への対応」に意識を進化させなければなりません。

 「先生、内向きの仕事に追われて外向きの仕事ができんのよ」これ、ほとんどの社長さんの悲鳴でしょうね。今がチャンスです。コロナによって労働市場が流動化・多様化していろんなヒトが職について考えています。何よりも、一つの会社にずっと所属するという旧来のマインドがなくなりつつあります。こういうヒトをどうやって探し、どんな条件でどんな契約で力を借りるのか、これが最重要課題ですね。

文章:杉岡 茂