僕S I N G(3)

そんなこんなで、ボクシングを始めた僕が手に入れたものの一つは、「生きる自信」というと少し大袈裟ですが、でも、そんなものです。健康な体そのものや身を護る技術、ちょいと危ない目にあっても、「表へ出ろい!」くらいのことは言えるかな… そして、そこから、いろんなことが始まりました。若いころやってたテニスの再開、やろうやろうと思いながらできなかったゴルフへの本格的参戦… 新たな人とのつながりができたり、昔の友達とまた一緒に同じ方向を見ることであったり、ホントにいろんなことが始まりました。アジアの国々へ目が開いたのも、これ以降です。体が元気になるにしたがって、気持も前を向くようになったのでしょうね。

 

ところで、僕たちのボクシングは、言うまでもないことですが、ライセンスをとることや試合をすることが目的ではありません。実をいうと、今でも何のためにやっているのかわかりません。体や精神を鍛えるということは、当然その目的のひとつではありますが、今回どうしても再開したいと思ったのは、どうやらそれとは違うものに突き動かされたように思います。心身を鍛えるということならば、他のことでもいいはずです。S氏が亡くなってから、元のメンバーでズンバというダンスをやってみたり、ゴルフを一所懸命やろうとしてみたり、いろいろやってみましたが、どうも違うようです。彼はもういないし、彼のようにはできないけれども、やっぱり、彼の命のバトンを次の世代に引き継がなきゃ、これが一番しっくりくるのです。

 

今も僕たちの中で生きている、彼の命とは何か。自分と戦う、つまり自分で勝ち負けを決める、ということでしょうか。人はだれ一人として、他人の人生を生きている人はいません。皆自分の人生を生きています。そして、この人生に正解はありません。正解は、必ず誰かがルールを決めることからはじまります。そして、本来人生に勝ち負けもありません。勝ち負けはどうしても、他人との比較になるのですが、人は、他人と比較するとどうしても幸せから遠のいてしまうようです。サッカーなら勝ち負けがありますが、サッカーのルールは、現にゲームをしている選手が決めたものじゃないですよね。スポーツならいざ知らず、自分の人生のルールは、自分が決めるのが当たり前だと思うんですが… 誰か他の人に自分の人生のルールや勝ち負けを決められたら、たまったもんじゃない。

 

しかし、この今のワイドショー社会の中で、他人にいろいろ言われる中で、自分の人生を生きることは難しいことです。他人の意見が、宇宙よりも大きくなって、自分の命を絶つ人も多いように見受けられます。でも本当は、他人が、あの人は負けたと思っても、俺は負けてないと思ってれば、負けではないのです。逆に、他人が、あの人は勝ち組だと思っていても、本人にその実感がないことも多々あります。今の日本人は、他人と比べることに躍起になって、自分のルールで自分の人生を生きるということを忘れているのではないでしょうか。これじゃ、幸せはないと思いますが、いかがでしょう…

 

そういうわけで、僕はボクシングを続けているのです。そして、ボクシングを始めたおかげで、今までにも書きましたが、僕は今「HELP」というロックバンドでボーカルとして、歌を歌っています。自分が音楽を、しかもライブをやるなんて、思いもよらなかったことですが、皆さんのご迷惑をかえりみず、我々「HELP」のライブは、休み休みではあっても続くと思います。そして、次のライブでは、彼の好きだった「Kissing A Fool」というGeorge Michaelの歌を歌いたいなと思っています。というわけで、「僕SING…Kissing A Fool」 おあとがヨロシイようで…

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