ついに、還暦を迎えました。暦が元に戻って、また新しい命が始まります。今年は、干支でいうと「辛丑かのとうし」の年で、ぼくが生まれた60年前も辛丑だったということです。干支の「干」は「天の気」を表し、「支」は「地の気」を表します。この天の気と地の気に加えて「人の気」である九星がありますが、九星でいうと今年は「六白金星」です。つまり、今年という年は「辛・丑・六白金星かのと・うし・ろっぱくきんせい」の年ということになります。
簡単にいうと、「天の気」は宇宙の気をいい、世の中の大きな流れを示唆します。「地の気」は大地の気をいい、我々が暮らすこの社会の流れを示唆します。「人の気」はこの世の中のこの社会に住むその人の運勢の流れを示唆します。天の気と地の気が示唆する今年は、新しい時代が始まり試行錯誤をする年です。まずやってみることが大事です。
日本の世の中は30年前の輝きと勢いを完全に失っています。その要因はいろいろなことが言われますが、一言で言うと「レガシーが居座る世の中」ということに尽きるように思います。政治の世界も経済の世界も教育の世界も世間のあちこちにレガシー鬼がデーンと腰を落ち着けて消えようとしません。「レガシー」というのは少し前まではいい香りのする言葉でしたが、今やマイナスのイメージしかありません。「成功体験」と言い換えてもいいかもしれません。成功体験にはなかなか抵抗できません。この国は30年前には「Japan as No1」などと世界中からもてはやされた国ですからなおさらです。しかし、そろそろ目覚めるべき時です。辛丑の年に新たな気がこの国をおおうといいなと思います。ぼく自身も、そんな歳に還暦を迎えて、新たな命を受け新しい人生にしたいと強く思っています。
ぼくが還暦を迎えた前の日に初めての孫が生まれました。つまり彼女も辛丑の年の生まれです。そして、二人ともに0歳で同い年です。ただ、彼女は六白金星で、ぼくは三碧木星です。三碧もややこしい星ですが、六白も一筋縄ではいきません。天や地とは違って、人は意思という厄介なものを持って生まれます。天の気や地の気に対抗して意地をはって生きるより、天の気や地の気に自分の気を合わせる方がうんと楽に暮らせるんでしょうけどね…
文章 杉岡 茂