少子高齢化と資本主義

 少子高齢化と聞くと、何やら問題ありという印象を受けるのが一般の感覚でしょうか。でもよく考えてみると、なんで人口が少なくなるといけないのか。子供をもうけるかどうか、何人もうけるかなんてことは個人の自由だし、それを強制したり制限したりすることは人権に反することですね。で、もう少し考えてみると、結局これは国のあり方に関わることなんでしょうね。

 つまり日本という国は、資本主義という経済体制を選択しています。資本主義は結局、経済がどんどん大きくなることが要求される考え方です。経済とはつまり売上=単価×数量であって数量は結局お客さんの数であって、人口が増えると売上は増えるということになるし、経済が大きくなるということです。どのようにしてか経済が大きくなり続けることが必要だ、と考えるのが資本主義の考え方なのです。

 もうひとつの資本主義の特徴は、大量生産・大量消費そして大量廃棄です。大量に生産することでコストが下がって儲けが増えます。人口が増えて、増えた人口の一人一人がたくさん消費することで儲けが増えます。たくさん消費させるためには、修理などせずに捨ててもらうのがいいですね。これもこの国には美しき言葉「もったいない」がありますが、こういう心象は他の国ではめずらしいことのようです。

 資本主義の良し悪しはわかりませんが、人口の減少を止めたいならば考えなきゃいけないことはたくさんありますね。この国は年寄りにはお金をかけますが、子供にはあまりかけてきませんでした。選挙権がないからですかね。子供や子供の教育にはもう少し国のお金を使ったらどうかと思うこともあります。教育の荒廃には目を覆いたくなります。根本的に学校の教育のやり方を変えるべきだと思います。

 しかし、それよりも大事なことは、赤ちゃんを育てる親夫婦に対する「まなざし」だと思います。電車やバスの中で赤ちゃんがぐずった時に、その家族に優しいまなざしを贈ることが大事だと思います。コストも何も要りません。孫が生まれて、そのことを思い出しました。

文章 杉岡 茂