徳と得

 Spotifyという音楽配信あぷりのポッドキャストで「夜なよな話」という番組を配信しています。ラジオのインターネット版ですが、YouTubeよりもおもしろいんですよ、これが… 想像することのおもしろさといいますか。画像がないので想像がふくらみ、その想像から創造が生まれるという感覚ですかね。画像がないので「ながら」で聞いてもらえるという気楽さがいいのかもしれません。QUEENのフレディ・マーキュリーが Radio Ga Ga の中で言いたかったことがちょっとわかったような気がしています。いずれにしても、ポッドキャストは今後どんどん世の中に広がっていくのだろうと思っています。

 「夜なよな話」ですが、日本の巨星二宮尊徳の言行を、弟子の福住正兄(まさえ)さんができるだけそのままに書き残した著作です。何にせよ、この地上にある書物の中で5本の指に入るものだと思います。もう一人そう思っている尊徳好きの古典研究家と、「尊徳知ってるよ」くらいのお殿様と3人で番組を作っています。ロックライブの時もそうでしたが、やってる方はとても楽しくやっています。聞いてくださる方もきっと楽しく聞いていただいてるのではないかと勝手に思っています。軽妙なタッチでテンポよく、しかしちょっと考えてしまうような番組になるといいなと思いながらやっています。

 その中で気づいたことひとつ。いろんな場面で「徳」という言葉に出会います。とくに古典を勉強すると頻繁に出会うことになります。で、じっくり考えてみると「はてな、徳ってなんだろう」…  もうひとつ「得」という言葉があります。同じ音、気になりますね。きっと、「得」は自分のためになること、「徳」は誰かのためになることなんじゃないでしょうか。そんなことを「夜なよな話」では話しています。正解なんてないって思ってもらえたら、とてもうれしいことです。

 当たり前だと思っていたことを一度立ち止まって考えてみること、それが「哲学」であったり「リベラルアーツ」であったりするんでしょうね。このことが今後の世の中には重要になるんだと思います。

文章 杉岡 茂