社長の武器

社長の意識 シーズン4

 中小企業の生まれながらにして最大の武器は何といっても「機動力」です。動きを起こす力です。ものが動く時にはその動き始めに一番大きな力を要します。これが「機動力」ですが、変化に適応する力やスピードの前提となる力です。今この時に「機動力」を強く意識して、会社デザインを考え直すかどうかで、今後の会社の行く末が大きく変わります。そう意味では、この度の事業再構築補助金は中小企業にとっては天の恵みです。そして何よりも

 「考えずに動くこと」

 これが大事です。

 この20〜30年は世界がとてつもない変化を経験し、今なおその真っ只中ですね。機動力をフルに発揮して変化に適応するためには、考えたら決断して実行する「覚悟」が何よりも大事です。考えているだけでは、中小企業の最大最強の武器である「機動力」を無にしてしまいます。そして、中小企業の機動力は、詰まるところ社長さん自身の機動力です。中小企業の会社力は、オーナー経営者である社長さんの力に大きく左右されます。「会社力=社長力」です。社長の即断即決がなければ会社は一歩も動きません。

 変化に適応する方法は何と言ってもTry & Errorつまり「試行錯誤」だと思います。とくに今年から先何年かは試行錯誤が、社長さんの重要な課題です。そして試行錯誤は「考えずに動くこと」から始まります。まずやってみなければ試行錯誤も何もあったもんじゃありません。社長さんの決断と実行への覚悟が何よりも大事です。決断と実行には「勇気」が要ります。「世界一の武器を持っていても、それを使う勇気がなければ世界一のガラクタ」です。

 この勇気の源は、社長さん自身の中にしかありません。勇気はエンタープライズの最大の要素です。そして、勇気の源には「リズム&バランス」と「思考方法」への意識が大事です。この二つの事柄に注意して日々を生きると「勇気」や「覚悟」がいつか身につきます。この二つのことは意識するだけなら誰にでもできることですが、意識するかしないかが大きな違いを生みます。

 まず、「リズム&バランス」です。「リズム」は自分自身の調子の上下です。いわば垂直方向の感覚です。好調の時には不調に備え、不調の時には次の準備をする。ぼくは古典とくに陰陽五行とか易を頼りにします。これに対して「バランス」は、自分が今どこの座標にいるかということで水平方向の感覚と考えてください。人は弱い存在です。困った時には、自分以外の何かを頼りにして決断するほかありません。会社を止めるのが、リーダーとして一番やってはいけないことです。

 次に「思考方法」については

  • 「二極思考」によって、物事の本質をつかみ
  • 「全体個別思考」によって、物事のバランスをつかみ
  • 「優先順位思考」によって、前に進める力を得ます

 これらは全て「機動力」の実践を目指しています。これまでもそしてこれからも「機動力」が中小企業の最大最強の武器であることに変わりはありません。

 一つ忘れてならないのは「経営者仲間」です。もちろん具体的な悩みとか問題を話し合える訳ではありませんが、同期のサクラ的な仲間がいると孤独な戦いが少しは心が軽くなるでしょう。われわれRYDEENはこの仲間に入れてもらえるよう、日々奮闘努力しています。孤独な戦士に寄り添い、一緒に考え共に前進する社長の「パートナー」になれたらいいなあと…

文章 杉岡 茂

写真 伊丸 綾