秋分 十六 / 二十四節気

新暦で9月23日ころ。

 秋分は秋の中点。太陽は真東からのぼって真西に沈み、昼の時間と夜の時間がほぼ同じになって、寒暑が行ったり来たりします。自然界の陽気がだんだん収まる方向へ向かうので、養生は陰陽のバランスの法則に従って調整することになります。

 このころは稲の刈り取りの時期で、豊作を祝う行事があちこちで行われ、静かな季節ながら活気があります。このころから「陰」を養う時期に入り、早寝によって「陰」を養い、早起きによって「陽」を追いかけることに心がけましょう。

 なんといってもさんまと松茸です。さんまは、心臓を丈夫にして夏の疲れをいやしてくれます。「香り松茸味しめじ」と言いますが、店頭で香りを味わうだけでも効果があるようです。陰の時期に入るので、しょうがを食べて体の芯を温め、代謝を高めることで免疫力アップを目指しましょう。ゴボウも高血圧や便秘に効果があると言われています。

 秋分の導引式では主に足の陽明経筋を伸ばします。足の陽明経筋は第二、三、四趾から始まって足背に集まり、足の表から腹部、胸部、頸部を通じて口と鼻のそばに至ります。息を吸う時は両腕を体の前から上げ、両手は耳を覆い、体を左に回して後を仰ぐ。これによって足の陽明経筋を伸ばします。息を吐く時は体を正面に戻し、手を離して両側へ下ろす。自分の状況に合わせて左右数回行います。

 雲の位置が高くなって空が高くなる秋分の候、秋晴れの季節はなんと言っても上海蟹です(だけじゃありませんけどね…)。気分も最高で自分の思いを前面に出すことを考えてみましょう。センチメンタルにからめとられることなく、もっとわがままになって自分の本当にやりたいことをじっくり思ってみるのもいいですよ。

文章 杉岡 茂