芒種 九/二十四節気

新暦で6月6日ころ。

芒種は民間では「忙種」とも言われる。芒は麦や稲など穂を付ける植物の穂先の突起のことです。そんな麦や稲の種を蒔いたり植えたりする時期がこの芒種です。つまり、芒種は農業生産と密接に関連する節気です。梅雨の始まりを迎える時期で、中国でも、長江中下流域で連綿と続く梅雨の季節を迎えます。芒種の時節は、遅寝早起きするのがよいと言われ、忙しくても希望の種をまく時期ということだそうです。

   芒種節気を過ぎると、一年の中で陽気が徐々に伸び、陰気が体内にかくれる時期に入る。毎日時間通りの午睡と睡眠が有効なようです。夜半に寝ることで最も陰を養うことができて睡眠効果がよくて、正午に午睡ひるねを取ることで陽気を養うことができて血気の運行にもよいとされます。

 この季節は人間離れを表す時期で、芸術や文化、自由奔放の意味合いがあるようです。周りのことを気にせずに自由気ままに過ごすのがいいようです。食べ物で言うと、きゅうりは火の性で夏の火照りを抑え利水作用があります。むくみにもいいのでダイエットにも有効な食べ物です。らっきょうは冷え性に効き、気分を落ち着かせる効果もあるようです。蕎麦はイライラを解消し、気分が落ち着くという効果があるようです。

   芒種導引式では手の少陰心經を伸ばします。手の少陰心經は手の小指の内側から肘の内側まで下って、わきに入って胸の中に終わり、横隔膜を下って小腸へ絡る経絡です。まず、息を吸いながら小指で両手を引き上げ、胸の前で手のひらを回して背中を後ろに倒し両手を上へ上げる。これで手の少陰心經を引っ張ることができます。そして、息を吐きながら体を正面に戻す。手のひらを前に向けて、両手をおろして腰の両側に戻します。これを自分の状況に合わせて繰り返します。単に小指のマッサージをするだけでも有効です。

文章 杉岡 茂