穀雨 六/二十四節気

萍始めて生ず。鳴鳩其の羽を払い、戴勝(ヤツガシラ)桑に降る。

新暦4月20日ころ。

 穀雨は春の最後の節気であり、穀物を潤し育てる春雨の降る季節です。立春から88日目の夜を八十八夜といいます。茶摘みの歌に「夏も近づく八十八夜♪」と歌われ、この日に摘んだお茶を飲むと長寿になると言われています。また、八と十と八で米の字になるので、農の吉日として農業にとって縁起のいい日とされます。

 穀雨のころはますます暖かくなり雨も降るので、花が咲き木々が茂り生気があふれてきます。穀雨を過ぎると、陽気が伸びるに従って陰気が徐々に弱まります。穀雨はすでに春の暮れで、この時期は肝臓、腎臓の保養と脾臓、胃の働きを促し、これから来る夏を健やかに過ごせるようしっかりと基盤を固めることを考えましょう。

 この時期の朝の運動は自然の気をくみ取るいい方法ですが、あまり汗をかいて陽気を漏らさないように気を付けることが大切です。また、湿気が多いと気分が湿ることもあるので潤性の食べ物は避けた方がいいでしょう。よもぎを用いた草餅、納豆、味噌汁、蜂蜜などいいですね。春キャベツ、新じゃが、竹の子、鯵、ホタルイカ、桜、タンポポ、お花見、衣替え、なんだか心がウキウキしますね。

   穀雨導引式では手の太陽小腸経を伸ばします。手の太陽小腸経は、小指から腕の外側の後ろを通って肩甲骨を経て首の横から上の目じりまでく経絡です。まず息を吸う時、片方の腕ををしながら体の前から上へ上げる。上げる際、手のひらが上に親指の先が体に向くようにする。顔は反対側の後ろ下の方に向ける。これで手の太陽小腸経を回して伸ばすことができます。そして、息を吐きながらもう片方の腕に手をおろし、首も正面へ戻す。これを左右交互に繰り返す。

文章 杉岡 茂