立冬 十九 / 二十四節気

新暦で11月7日ころ。

 ここから冬が始ります。立というのは始まりのことです。冬といってもまだまだ日本では秋たけなわ、実りの秋真っ盛りです。と言いたいところですが、最近は「気候変動」という化け物のせいで、秋もそして春もほとんどありません。人類は本気でこのことの意味を考えなければならいのでしょう。

 冬は老化と関係した季節です。老化防止の作戦は数限りなくありますが、一番は陰を養うこと、つまりゆっくり休むことです。疲れを少しでも感じたその時にちょっと休憩するのもいいですね。ちょっとした午睡(ひるね)はおすすめです。昔からかなりのご高齢の方がお昼寝をしておられるシーンに出くわすことは多いですよね。それからこの季節は首回りや手首足首に注意が必要です。足のくるぶし近くの「三陰交」を温めるのが簡単でいいですね。

 みのりの秋のこの季節は何といってもレンコンですが、寒性の食べ物なので冷え性の方にはおすすめできません。現代人は夜更かしや冷たいものの食べ過ぎによって陰虚(体の芯は冷えているのに体の外がほてる)の人が多いのですが、この陰虚をとるにはレンコンが最高です。また、この季節はぶどうがいいですね。ぶどうは平性なので暑がり寒がりどの体質の人にも合いますね。

 何にせよ、立冬は秋の終わり冬の始まりにあたり、陽退陰生、万物は休養と収蔵の時期に入ります。北風の季節になり寒さに向かうので、頭や足先、背中の保温にも注意しなければならい季節です。「立冬に冬を補う」の風習があり、温かい物を食べることで低温を防ぎます。立冬の養生では、陽気に配慮し寒邪が陽を傷つけないよう注意することが大事です。

 立冬の導引式は主に足の厥陰経筋を伸ばします。足の厥陰経筋は足の親指に始まり、第三足指から分岐してくるぶしの前で結ぶ。足の内側を伝って陰部で結び、各経筋に連絡すします。両手を握って持ち上げながら息を吸い、吐く時は腰を回し、両手を左に押し出します。頭を右に回し息を吸うことで、足の厥陰経筋をねじりながら引き上げます。吐く時は頭を正面に戻し、両腕を横に広げて下ろします。自分の状況に合わせて左右数回繰り返すといいでしょう。

文章 杉岡 茂