Livist

 この世界は今デジタルの嵐が吹き荒れています。デジタルの力を使わずにはもはや快適な生活はできません。会社経営においても、デジタル技術なくして会社の成長はありません。会社が成長して生産性がよくならないと、社員さんも幸せになれません。生産性というのはわかりにくい言葉ですが、社員さん一人当たりの利益だと考えてください。これって給料に直結します。そして、社長さんは生産性を上げる責任を負う唯一の存在ですから、そのことを十分に自覚する必要があります。してみれば、中小企業の経営者としては会社の生産性を上げるために「中小企業のDX」を避けては通ることはできないのです。

 このデジタル世界においてぼくが考えていることの一つは「LIVEライブの感覚」がとても大事になったなあということです。このこと以外にも「リアル」と「リモート」の境目や役割とか、「カタマリ時間」から「スキマ時間」へのうつろいとか… ほんの3年前には考えもしなかったようなことが、目の前に現れてきました。思えば、iPhoneを手に取った2010年ころからこの流れは始まっていたようです。もちろんシリコンバレーや深圳においては、そのはるか前に始まっていたのでしょうけど。

 LIVEライブに戻りましょう。会社のPRや販売そのものを本当の意味でのLIVEライブでやるというのは難しいことですね。厳密な意味ではLIVEライブではないかもしれませんが、動画・録画を利用することは有効な方法です。「LIVEライブ感覚」という方が正確かもしれません。してみれば、文章より動画です。そして、原稿を読むというのをやめるということだと思います。レジュメとかパワポとか使わずに話ができるか、ということです。

 ぼくは以前からセミナーや講演の時も、できるだけ原稿やレジュメを用意せずにしゃべるようにしています。たまにレジュメを用意して行っても、その通りにしゃべることに抵抗があって、結局レジュメどおりにはしゃべれないのです。というわけで、事前のアナウンスと実際の内容が違ったりして、受講してくださる方の期待を裏切ったり、物足りない思いのまま帰ってもらったことも大いにあると思います。できるだけメモもとってもらいたくないとも思っています。「何Whatを伝えるかではなくどうHow伝えるのか」が大事だと思っているからです。Passion情熱が大切です。

 RYDEENのメンバーの中に「ホワイトボード使いの天才」がいますが、パワポと似て非なるものですね。事前に準備してあるパワポと違って、ホワイトボードは臨場感満載です。LIVEライブ感覚の観点からいうと、格段の違いがあります。熱い思いが伝われば内容は自然とついてくるものですが、熱い思いが伝わらなければ内容はすぐに忘れられてしまいます。やる気とか進取の精神つまりEnterpriseは全ての学習の基礎です。内容の正確性よりもその本質とか真髄を受け取ることの方が、リーダーにとってははるかに大事なことです。

 HELPというロックバンドでLIVEライブ活動をする中で、このLIVEライブ感覚を学んだのだと思います。ちゃんと歌詞を間違えずに歌うことよりも、覚えている歌詞を繰り返してでもハミングででも、勢いで最後まで突っ走ることで、何かが伝わるのです。歌を上手に歌っても熱い想いをもって勢いで歌いきらないと何かが伝わらないし広がらないのです。精神とか魂が伝わらないと、メモにとったありがたい内容も紙が勉強したことに終わってしまいます。残念なことです。

文章 杉岡 茂