鳴神道場

 RYDEENという社名は「YMO」というグループの「RYDEEN」という曲から拝借しました。YMOは細野晴臣・坂本龍一・高橋幸弘の3人がメンバーが作ったテクノバンドです。当時、テクノミュージックという音楽シーンの最先端を行ったグループで海外でも相当活躍したバンドです。「RYDEEN」はその彼らの代表曲です。

 RYDEENは雷電ライデンが語源だそうで、つまり雷カミナリのことです。雷は今では科学的に説明されますが、大昔は大空が大胆にピカッと光って大音声のとても人には理解できない不思議な現象で、神の御技と考えていました。1300年前の万葉集にも、柿本人麻呂の作として

「鳴神の少し響(とよ)みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ」

雷の響きがかすかに聞こえ空も曇ってきました。雨になりませんかね。あなたをここに留めたいから

「鳴神の少し響みて降らずとも吾は留らん妹し留めば」

そう、雷が確かに聞こえるね。降らなくったってぼくはここにいるよ。あなたが望むなら

という和歌がのっています。美しい歌ですね。雷のことを神が鳴るものとして「鳴神」と表現しています。「君の名は」や「天気の子」で有名な新海誠監督の「言の葉の庭」という小作品はこの歌をモチーフとして作られています。

 鳴神道場においては、理屈や理論なんかよりも志や心意気というものを大事にしたいと思います。経験や事実が大事です。「世界一の武器を持っていてもそれを使う知恵や勇気がなければそれは世界一のガラクタ」です。経営の武器、つまり経営技術や知識をいくらたくさん持っていても、それを使う人の志や感情によってうまくコントロールされなければ役に立ちません。「知行合一」ということです。

 さらにいうと、経営技術や知識というものはたくさんあればいいというものではなくて、必要にして最小限であることが大事なことです。余計なものをたくさん持っていると、時代に適合した機敏な動きができません。「捨てる技術」も鳴神道場の大きなテーマです。RYDEENは、経営のOS(オペレーティングシステム)つまり基本構造をRyOSという小冊子にまとめました。鳴神道場ではこのRyOSの解説もしています。

 鳴神道場を始める前、今から20年くらい前から「夜話塾」という後継者を対象とした勉強会をやっていました。「夜話塾」は、二宮尊徳の「尊徳夜話」を毎回少しずつ読み進めることから付けた名前です。30歳そこそこで中小企業のお世話を始めた頃、お相手は社長さん達でほとんどが自分の親と同じ世代の人たちでした。いつか、しかし近いうちにこの人たちは経営を去り、次の世代が後を継ぐことに気付いてしまったぼくは、後継者の世代の人たちと一緒に経営の勉強をしようと思い立ったという訳です。

 というわけで、鳴神道場は後継者を中心とした若手の経営者を養成することを得意技としています。経営のビギナー向けの経営セミナーだと考えていただくといいと思います。中小企業の現状は、今や後継者のいない会社が半数だというお粗末な状況です。子供が好きにならない会社を誰が好きになってくれるんでしょうか。中小企業は後継者の養成にお金と時間と労力をぞんぶんにかけるべきです。

 若い後継者や経営者のみなさん、エンタープライズ進取の精神を持照ように、そして経営のOSを習得するために鳴神道場へ来てください。

文章 杉岡 茂