Radio GaGa

 地元のおっさんバンドHELPを卒業して少し時間が経ちました。タバコをやめた人みたいに時々やりたくなりますが、離れてみて見えてきたものもたくさんあります。10年やりたいようにやらせてくれた同級生をはじめメンバーの皆さんには感謝あるのみです。 合掌!

 いずれにしても、「音楽はいいなあ」という気持ちに変わりはありません。何と言っても競争がありません。そして、誰かと何かを創り上げることの喜びを感じるには、とても手軽で入りやすい場所だと思います。それぞれが一所懸命練習して、みんなと音を合わせて、本番で真っ白になる。その中でごくたまに「今のよかったねえ!」をいう瞬間があります。その一瞬のグルーブ感を求めてバンドは燃え上がります。少なくとも僕のバンド時代はそんな感じで充実していました。

 その後、あるHELPメンバーのお世話で、HELPの同級生メンバー3人がラジオ番組に出てしまいました。60分のトーク番組です。おもしろかったですねえ。しゅうなんFMという地元F Mの音楽番組ですが、思ったよりたくさんの人が聞いておられます。これにはびっくりしました。地元の情報が聞けるという地元FMの強みもあるのでしょうが、「ラジオを聞くということ」自体を正直なところ僕は忘れていました。ラジオをみんな聞いてるんだあ…

 テレビと違って音だけなので見ないでいいという気軽さや気楽さがあるのは間違いないとして、他にも何かあるような気がしています。はっきりとはわかりませんが、映像によってわれわれ人類の想像力あるいは創造力が奪われているような感覚です。これじゃいけません。創造力の退化は、AIなどデジタルと人類との戦いの中で一番大切な人類の力だと思います。映像の与えるインパクトによる「受動性」とか「無気力」とか「思考の停止」により私たちは誰かにあるいは何かに操られることになります。自分の頭で考えることができなくなったらそれはもはや人類ではないでしょう。私たちは家畜に成り下がってはいけません。

 ラジオの復権とかラジオの時代の再来は今の人類にとってとても必要なことかもしれません。HELPも何曲かやったQUEENのナンバーにRadio Ga Gaという曲があります。あの時代にそういう感覚を持っていたフレディ マーキュリーという人はすごい人だったんだな…

文章 杉岡 茂