私塾 鳳徳館

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【通山】第1回 渋沢栄一と論語

 これからしばらくの間、気力が続く範囲で、私の本棚の中からあてもなく本の紹介をさせていただきます。お付き合いの程よろしくお願いいたします。

 今回が第1回ということで、どこから切り出すか、なかなか悩ましいところですが、これを書いている時点(令和3年12月)では、ちょうど大河ドラマ「青天を衝け」が最終回を迎えようとしているところなので、今年の主人公、渋沢栄一を取り上げてみたいと思います。

 渋沢栄一に関する本はいろいろとありますが、個人的には渋沢栄一著(守屋淳翻訳)「渋沢栄一の「論語講義」」(平凡社新書2010年)がおすすめの一冊です。

 渋沢は、江戸時代(幕末)から昭和初期にかけて活躍した人です。たくさんの会社を作ったことで知られており、それらの中には現在も大企業として続いているものもたくさんあります(みずほ銀行、東京海上火災、東京電力、東京ガス、サッポロビール、JR、帝国ホテル等)。そうしたたくさんの会社を経営する際に、渋沢がよりどころにしていたのが、中国の古典「論語」です(渋沢の有名なフレーズに、「片手に論語、片手に算盤」というのもあります。)。

 この本の面白いところは、渋沢が論語のなかの言葉を説明しながら、それが自分の実際の生活や仕事にどういう影響を与えたか、具体的に述べているところです。エピソードの中には、徳川慶喜、大隈重信、井上馨、大久保利通、西郷隆盛、松方正義、伊藤博文、山県有朋、大山巌、児玉源太郎など、学校で習うような有名人もたびたび登場し、明治時代の有名人の人間関係を知ることができ、興味深いものがあります。

 なお、この本は、渋沢が残した「論語講義」という本の中から、翻訳者が良いところを選び出して現代語訳したものです。本棚の中にはその「本体」もありますが、かなりボリュームがあるのでこちらは今のところ未読です。時間ができたら読みたいと思っています。

 渋沢が関わった会社や、人物、中国の古典など、掘り下げてみたいテーマはいろいろとありますが、次回は、渋沢家の歴史にスポットを当ててみたいと思います。

一冊の本の中には、次に読む本を選ぶためのヒントがたくさん詰まっています。そこで、本文中で取り上げることができなかった「次の一冊」のヒントも挙げておきたいと思います。

【この本から入手できる「次の一冊」のヒント】

・岩崎弥太郎(三菱財閥)…渋沢栄一のライバル
・益田孝/鈍翁(三井財閥)…渋沢栄一のライバル・友人/茶人
・大倉喜八郎(大倉財閥)…渋沢栄一の友人
・明治期の実業家
・日本の財閥
・中国の古典(論語等)

塾長 通山