評価制度と賃金の見直し方 初任給引き上げ時代に中小企業がやること
「初任給を引き上げたら、既存の社員から不満が出た」「昇給の目安がなくて、毎年なんとなく金額を決めている」。こういう相談は本当に多いです。周南エリアの会社さんからも、求人票の初任給を上げた途端に、入社3年目の社員から「自分の給料と大差ないのはおかしい」と言われて困った、という話をよく聞きます。評価制度と賃金をどう組み立て直すか、実務で使える順番で整理します。
初任給を上げると何が起きるか
人手不足で、初任給を引き上げる会社が増えています。地域や業種にもよりますが、この数年で新卒の初任給を2万円、3万円と一気に上げた会社も珍しくありません。求人票の数字を良くしないと、そもそも応募が来ないからです。
ここで見落とされがちなのが、既存社員との差です。例えば、入社4年目の社員の月給が22万円で、来年の新卒初任給が21万円だとします。差はわずか1万円です。本人からすれば、4年勤めた重みが評価されていないように感じます。これが「逆転現象」と呼ばれるものです。
逆転現象自体は、初任給を上げれば必ず起きるものではありません。既存社員の給料表も一緒に見直せば防げます。ただ、初任給だけ動かして既存の賃金表をそのままにしている会社が多く、そこでつまずきます。
最低賃金も毎年10月ごろに改定されます。改定額はその年ごとに変わるので、必ずその年の最新の公表額で確認してください。パート・アルバイトの時給が最低賃金に近い会社ほど、正社員との差が縮まりやすく、賃金制度見直しの引き金になります。
賃金制度を見直す前に整理すること
賃金を見直すというと、金額の表から作り始めたくなりますが、それより先にやることがあります。会社の中に、どんな役割の人がいるかを整理することです。等級と呼んだり、グレードと呼んだりしますが、要は「新人」「一人前」「後輩を教えられる人」「現場を任せられる人」というような段階分けです。
この段階を3つか4つくらいに分けて、それぞれの人に何を期待するかを一言で書きます。難しい表現はいりません。「一人で作業を回せる」「トラブルが起きても自分で判断できる」くらいで十分です。
段階が決まると、初めて賃金表と結びつけられます。段階ごとに給料の幅を決めて、そこに社員一人一人を当てはめていく形です。この順番を飛ばして金額だけいじると、後で説明ができなくなります。「なぜあの人がこの給料なのか」を聞かれたときに、答えられる状態を作ることが目的です。
昇給の目安をどう決めるか
昇給の目安がなく、社長の感覚で毎年決めている会社は少なくありません。それ自体が悪いわけではありませんが、社員が増えてくると不公平感の原因になります。
目安の作り方はシンプルで構いません。例えば、勤続年数に応じて自動的に上がる部分と、評価に応じて上下する部分を分けます。勤続部分は年1000円から3000円くらいの小さな昇給、評価部分は上位の評価なら5000円、標準なら2000円、といった具合です。金額はあくまで一例で、業種や会社の規模で変わります。
大事なのは、昇給に上限があることを最初から伝えておくことです。「頑張れば青天井」ではなく、「この等級の中ではここまで」という範囲を示した方が、社員も次の目標を持ちやすくなります。上の等級に上がるための条件も、合わせて示しておくと納得感が違います。
soshiki
あわせて読みたい
- 返済猶予の相談は恥ではない リスケ交渉の前に準備すること2026-08-21
- M&Aのデューデリジェンスで見られる10のポイントと進め方2026-08-21
- 社長の右腕をどう育てるか ナンバー2・幹部候補の育て方2026-08-20