社長の右腕をどう育てるか ナンバー2・幹部候補の育て方

「自分が倒れたら会社が止まる」——そう感じている社長は多いです。日々の相談でも、次のナンバー2をどう育てればいいのか、幹部候補に何を任せればいいのか分からないという声をよく聞きます。権限委譲ができないまま何年も一人で抱え込んでいる社長も少なくありません。

「右腕がいない」と感じる瞬間

社長が一人で全部決めている会社は多いです。見積もりも、採用面接も、銀行との交渉も、社長本人がやっている。忙しいはずなのに、誰かに任せる発想が出てこないことがあります。

こういう会社に伺うと、社長はよくこう言います。「右腕がいないんです」。でも話を聞いていくと、右腕候補はすでに社内にいることが多いです。育てる場を作ってこなかっただけということが多いです。

例えば、入社10年の課長が、日々の判断はしっかりできるのに、経営会議には呼ばれたことがない、という会社があるとします。この人は幹部候補として動ける可能性が高いのに、社長の頭の中では「まだ早い」のままになっています。

後継者と右腕は別物です。後継者は会社を継ぐ人。右腕は今の社長を支えながら、将来は後継者になるかもしれない人です。両方兼ねる場合もありますが、まず右腕、次に後継、という順番で考えると整理しやすくなります。

ナンバー2に向いている人はどんな人か

ナンバー2育成の相談を受けると、まず「誰が向いているか分からない」という話から始まります。営業成績が一番の人がナンバー2に向くとは限りません。

見るべきところは、数字より態度です。悪い報告を早く上げてくるか。自分の失敗を認められるか。他の社員から相談されているか。この3つがそろっている人は、育てれば伸びていきます。

逆につまずくのが、社長に一番忠実な人を選んでしまうケースです。忠実さは大事ですが、それだけだと「社長の代弁者」で終わってしまいます。ナンバー2に必要なのは、社長に反対意見を言える距離感です。

年齢も学歴も関係ありません。中小企業の現場では、40代で急に伸びる人も、20代で頭角を現す人もいます。決めつけずに、小さな仕事を任せて反応を見るところから始めるのが現実的です。

権限委譲ができない社長が陥る罠

権限委譲できないという相談は本当に多いです。理由を聞くと、たいてい「自分がやった方が早い」と返ってきます。短期的には正しいです。でも、これを続けると幹部は育ちません。

罠は他にもあります。任せたと言いながら、結局細かく口を出してしまう。承認のハンコだけ変わって、判断は社長がしている。これでは任せたことになりません。社員側も「どうせ社長が決める」と学習してしまいます。

権限委譲は、失敗を許すところから始まります。例えば、100万円までの発注判断を課長に任せるとします。最初の数回は、社長の判断と違う選択をするはずです。そこで取り上げてしまうと、次から本人は自分で決めなくなります。

目安として、金額や範囲を数字で区切ると任せやすくなります。「このくらいまでは相談なしでいい」と決めておくと、任せる側も任せられる側も動きやすくなります。

幹部候補の育て方 順番とやり方

育て方には順番があります。いきなり経営判断を任せるのではなく、まず「実務の権限」から渡します。次に「人を動かす権限」、最後に「お金を動かす権限」という順です。

実務の権限とは、担当業務のやり方を自分で決めていいということです。人を動かす権限とは、部下への指示や評価に関わることです。お金を動かす権限は、発注や採用にかかわる金額の決裁です。

権限委譲の4段階 全部自分で やる 実務を 任せる 人を動かす 権限を渡す お金を動かす 権限を渡す 左から右へ、任せる範囲を少しずつ広げていく

この順番を飛ばして、いきなり経営会議に呼んで「意見を言ってくれ」と言っても、何も出てきません。日々の判断を積み重ねた人でないと、経営レベルの判断はできないです。

後継幹部の育て方として、社外の学びの場を使う会社もあります。同業ではない経営者や幹部と話す機会を持つと、社内では出てこない視点に触れられます。これは社長自身が最初の一歩を後押しする役割になります。

管理職教育で押さえておきたいこと

管理職教育というと、研修を思い浮かべる社長が多いです。研修も悪くないですが、それだけでは育ちません。育つのは、任された仕事で結果を出して、振り返る機会があったときです。

ここでつまずく人が多いのが、フィードバックです。結果だけを見て「良かった」「悪かった」で終わらせてしまう。何を考えてその判断をしたのか、そこを一緒に振り返ると、次の判断の精度が上がっていきます。

評価制度も関係します。数字だけで評価される会社だと、部下を育てるより自分の実績を優先する管理職が出てきます。部下の成長も評価項目に入れると、育成が本人の仕事として位置づけられます。

自社に置き換えると

自分の会社に置き換えて考えてみてください。今、社長がいないと止まる業務はどれくらいありますか。銀行対応、採用の最終判断、大口の見積もり。どれも社長しかできない状態になっていませんか。

右腕候補として頭に浮かぶ人はいますか。いるなら、その人に今どんな権限を渡しているか、一度書き出してみると現状がはっきりします。

権限委譲の範囲を、金額や業務の種類で区切って社員に伝えていますか。「任せている」と社長が思っていても、本人には伝わっていないことがよくあります。

右腕や幹部候補の育て方に正解はありません。会社の規模や業種によって、任せる順番も速さも変わります。合同会社RYDEENでは、経営者の方と一緒に、今の会社で誰にどこまで任せられるかを整理するお手伝いをしています。

人が育つ仕組みを、社内に

誰かに任せきりにせず、社内で教え合える形をつくる。RYDEENは中小企業の現場に入って一緒に組み立てます。

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