ブログを月1回に減らした話、実はPodcastのせいです
ブログの更新を月2回から月1回に減らしました。サボりたくなったわけじゃありません。これまではブログとYouTubeの二本立てでやってきたところに、Podcastという新しい道具を足すことにしたんです。手を抜くどころか、荷物がひとつ増えた話です。
ブログを減らして、Podcastを足した
ブログは文字を読んでもらうものです。写真や動画を貼ることもできますが、基本は目で追ってもらう文章です。だから静かなメディアです。読み手が自分のペースでめくっていく。書いてるこっちの熱がそのまま伝わるかというと、正直ちょっと心もとない。

YouTubeは目でも耳でも受け取ってもらえます。表情も声のトーンも一緒に届く。動きのあるメディアです。だからずっとYouTubeに力を入れてきました。文字より伝わる、そう思い込んでいたところがあります。
そこにPodcastです。耳だけで聞いてもらう。ラジオと同じ仕組みです。始める前は「音声だけで動画に勝てるわけがない」と思ってました。ところがやってみると、これがおもしろい。
目で読む、目と耳で見る、耳だけで聞く
この3つ、似てるようで全然違います。ブログは静。YouTubeは動。Podcastも動だけど、映像がない分だけ聞き手の頭の中で何かが動く。誰がしゃべってるかわからない、というのが逆にいいんです。声だけを頼りに、この人はどんな顔でどんな部屋でしゃべってるんだろうと想像しながら聞く。この想像する余地があるかないかで、記憶への残り方がぜんぜん違う気がします。
経営の話に引きつけると、情報を届けるときにチャネルをひとつに絞る必要はないというのが、ここでの学びです。同じ内容でも、文字で読むのと耳で聞くのとでは刺さる相手が違う。例えば、朝礼で社長がいつも同じ調子で同じ話をするのと、たまに雑談っぽく違う言い方で話すのとでは、社員の耳への残り方が変わってくるはずです。声のトーンや間の取り方まで含めて、伝えるというのはひとつの技術なんだと思います。
ちょっと前に「Radio Ga GA」という原稿でラジオのおもしろさについて書きました。あの感覚とPodcastは近い。画面がない分だけ、聞く側の想像力に委ねる部分が増える。委ねられた分だけ、聞き手が能動的になる。受け身で見るものと、想像しながら聞くものとでは、頭への入り方が違うんだと思います。
「ながら」で聞けるというのが強い
なんと言っても、「ながら」で聞いてもらえるのがいい。車を運転しながら、食事の支度をしながら。手も目もふさがってる時間に、耳だけは空いてる。そこに入り込めるのがPodcastの強みです。
社長さんたちに聞くと、YouTubeより好評なんです。理由は単純で、運転中は画面を見られないから。経営者の可処分時間って、実は移動中とか作業中とかの「ながら時間」にけっこう埋まっています。そこを狙えるかどうかで、情報が届く量がまるで変わってくる。例えば、月次の資料を作りながら音声だけ流しておく、みたいな聞き方をしてくれてる社長さんもいるようです。画面を占領しないというのは、忙しい人にとって思った以上に大事な条件なんだと思います。
というわけで、Spotifyで月に2回「車で聴く時代と経営」という番組を配信し始めました。よかったら聞いてみてください。
自社に置き換えると
自社の情報発信を振り返ってみるといいかもしれません。お客さんや社員に伝えたいことを、文字だけで届けようとしていないか。ホームページとメルマガだけで満足していないか、一度立ち止まって考えてみる価値はあります。相手の「ながら時間」、つまり通勤中や作業中の耳が空いてる時間に、自社の情報は入り込めているでしょうか。そして、伝える側であるあなた自身の熱量は、その発信の形式によって目減りしていないでしょうか。文字にした瞬間に丸くなってしまう思いというのも、案外あるものです。
形式をひとつに決めつけないというのが、たぶん今回いちばん言いたかったことです。ブログを月1回に減らしたのは後退じゃなくて、聞いてくれる相手に合わせて道具を増やした結果です。想像力を働かせて聞いてもらえるって、悪くないですよ。
・文 杉岡茂
(初出:逍雲夜話 2022年11月「ポッドキャスド」を再編集)
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