二十四節気に経営のリズムを重ねてみる
「立春」「雨水」「啓蟄」って言葉、聞いたことはあっても中身まで知ってる人は少ないと思います。ぼくも長いことそうでした。一年を二十四に割って季節の移り変わりに名前をつけた二十四節気という暦を調べていて、これ経営のリズムとちょっと重なるなと思ったので書いてみます。
二十四節気って、そもそも何なんだ
二十四節気は中国生まれの暦です。だから本来は中国の気候を表していて、日本の季節とは微妙にズレます。それでも日本ではずっと言い伝えられてきました。
立春(2月4日)は春になるとき。雨水(2月19日)は雪や氷が解けて雨に変わるころ。啓蟄(3月6日)は虫が目覚めて動き出す。春分(3月21日)は立春から続く春のちょうど真ん中。清明(4月5日)は万物が清く明るく生き生きと見えるころ。穀雨(4月20日)は穀物を潤す雨が降る。
夏に入ると、立夏(5月5日)、小満(5月21日、気温も湿度も上がって草木が茂る)、芒種(6月6日、麦を刈って稲を植える)、夏至(6月21日)、小暑(7月7日)、大暑(7月23日、暑さの極み)。秋は、立秋(8月7日)、処暑(8月23日、暑さがおさまる)、白露(9月8日、秋めいて露を結ぶ)、秋分(9月23日)、寒露(10月8日)、霜降(10月23日、霜が降りる)。冬は、立冬(11月7日)、小雪(11月22日)、大雪(12月7日)、冬至(12月22日)、小寒(1月6日)、大寒(1月25日、寒さが一番厳しくなるころ)。
こうやって並べてみると、ただの暦じゃないなと思います。

「気」に自分を合わせる、という考え方
二十四節気の根っこにあるのは、その時々の季節の「気」に自分を合わせて、自然と共に、宇宙と共に生きるのがいいという考え方です。すごく東洋的だなと思います。
これ、経営にもそのまま当てはまる気がします。景気にも、業界にも、会社にも、その時々の「気」というものがあります。伸びる気配のとき、じっと縮こまる時期、種をまくべき時、刈り取るべき時。
なぜそう思うかというと、経営がうまくいっている会社ほど、この「気」を読むのが早いからです。無理に季節を追い越そうとしない。逆に季節を無視して真夏に種をまいて真冬に収穫しようとする会社は、だいたい消耗します。当たり前ですよね、芽が出る前に霜が降りたら終わりです。
季節に合わせるというのは、怠けることじゃありません。むしろ、いつ動いていつ止まるかを、自分の勘じゃなく外の空気で決めるということです。これがけっこう難しい。
例えば、こんな会社があったとします
例えば、ある製造業の社長が、業績がいい年に一気に設備投資して人も増やしたとします。翌年、景気が急に厳しくなって、固定費だけが重く残ったとします。よくある話です。
逆に、景気が一番厳しい時期に、じっと我慢して足元の商品開発だけ続けていた会社があったとします。取引先も減って苦しいけど、風向きが変わった瞬間、真っ先に動ける状態を保っていた。これも、よくある話です。
二十四節気がおもしろいのは、「大寒」のあとに必ず「立春」が来るとわかっている点です。厳しい時期がいつまで続くかわからないと心が折れますが、次に何が来るか知っていれば、耐え方が変わります。
経営も同じだと思います。今がどの節気にあたるのか。それがわかっているだけで、打つ手も、我慢のしかたも変わってくるはずです。
自社に置き換えると
今の自分の会社は、二十四節気で言うとどのあたりにいるでしょうか。芽吹き始めた清明のころか、それとも大暑の暑さの中で消耗している最中か。
種をまくべき時期なのに、逆に守りに入っていないでしょうか。まだ寒の時期なのに、焦って先に動きすぎていないでしょうか。
自分の勘や去年の成功パターンだけで判断していないでしょうか。業界の「気」、取引先の「気」、社内の「気」に、ちゃんと耳を澄ませているでしょうか。
二十四節気を全部暗記する必要はないと思います。ただ、季節には名前がついていて、順番があって、必ず巡ってくるという事実だけは、頭の片隅に置いておきたいです。今がどんなに厳しい節気でも、次の節気は決まっています。焦らず、でも油断せず。そのくらいの構えで、ぼくは今年の残りを過ごそうと思っています。
・文 杉岡 茂
(初出:逍雲夜話 2022年12月「二十四節気」を再編集)
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