消費税のインボイス対応と電子帳簿保存法、中小企業が本当にやることだけ
「インボイスって結局うちは何をすればいいんですか」「電子帳簿保存法、去年何か対応した気がするけど今年も何かあるんですか」。経理担当の方や社長からこういう質問をよく受けます。制度の説明はネットにたくさん出ていますが、自社が今手を動かすべき部分だけを書いてある記事は意外と少ないです。今日はこの2つの制度で、中小企業が実際にやることだけをまとめます。
消費税のインボイス対応、まず確認すること
インボイス制度の話でまず確認してほしいのは、自社が「適格請求書発行事業者」として登録しているかどうかです。登録すると「T」から始まる13桁の登録番号が付きます。この番号を請求書に書いていないと、取引先はその請求書をもとに消費税の仕入税額控除ができません。取引先から「登録番号を教えてください」と聞かれたことがある会社は、もう対応が動き出していると考えていいです。
次に見るのは請求書や領収書のフォーマットです。登録番号のほかに、税率ごとに分けた金額(8%対象と10%対象を分ける)、それぞれの消費税額、適用税率の記載が必要になります。会計ソフトや請求書発行システムを使っていれば自動で対応していることが多いですが、エクセルで手作りの請求書を使っている会社は、一度テンプレートを見直したほうがいいです。
もうひとつよく聞かれるのが、免税事業者との取引です。仕入先が消費税を納めていない免税事業者だと、原則としてその仕入れ分の消費税は控除できません。ただし経過措置があり、2023年10月から2026年9月末までは80%、2026年10月から2029年9月末までは50%を控除できる期間になっています。今ちょうど80%から50%に切り替わる時期に近いので、免税事業者との取引が多い会社は、仕入先の登録状況と自社の税負担への影響を一度整理しておいたほうがいいです。細かい率や期限は今後も変わる可能性があるので、必ず国税庁の最新の案内で確認してください。

電子帳簿保存法で対応が必須な部分
電子帳簿保存法は3つに分かれています。会計帳簿を最初から電子データで作る「電子帳簿等保存」、紙の領収書をスキャンして保存する「スキャナ保存」、この2つは任意です。やってもやらなくてもいいです。一方で「電子取引データ保存」は2024年1月から原則すべての会社に義務になっています。ここだけは避けて通れません。
電子取引とは何かというと、メールで送られてきた請求書のPDF、ネット通販の領収書データ、クラウド上でやり取りする納品書などです。紙でやり取りしたものを電子化する話ではありません。最初から電子データでもらった取引情報を、紙に印刷して保存するのではなく、データのまま保存してくださいという決まりです。
保存の仕方には条件が2つあります。ひとつは「真実性の確保」。データを勝手に書き換えられないよう、タイムスタンプを付けるか、訂正削除の履歴が残るシステムを使うか、社内で訂正削除を防ぐ事務処理規程を作って運用するか、いずれかの対応が必要です。もうひとつは「可視性の確保」。取引年月日、金額、取引先名で検索できる状態にしておくことです。ファイル名を「20260821_〇〇商事_110000円」のように統一して、フォルダで管理するだけでも検索要件を満たせます。
現場でつまずきやすいところ
ここでよくつまずくのが、請求書を紙でも電子でも受け取っている会社です。取引先によってFAX、メール添付、郵送とバラバラで届くと、どれが電子取引に当たるのか分からなくなります。判断の基準はシンプルで、最初にデータで受け取ったものは電子で保存、最初から紙で受け取ったものは紙のままで構いません。紙の書類まで無理にデータ化する必要はないです。
もうひとつ多いのが、フォルダ管理が属人化してしまうケースです。経理担当が1人しかいない会社だと、その人のパソコンの中だけにルールがあって、他の人には分からない状態になりがちです。事務処理規程を作って、誰が見てもファイルの置き場所とファイル名のルールが分かるようにしておくと、担当者が変わったときも困りません。
売上高が5,000万円以下の会社などは、検索要件が緩和される猶予措置もあります。ただし対象になるかどうかや条件は見直されることがあるので、自社が当てはまるかは顧問税理士か国税庁の資料で確認するのが確実です。
自社に置き換えると
ここまで読んで、自分の会社で確認したいのは3つくらいだと思います。まず、自社は適格請求書発行事業者として登録していて、請求書のフォーマットは今のままで問題ないか。次に、メールやクラウドでやり取りしている請求書や領収書を、今どこにどう保存しているか。最後に、その保存の仕方を誰か1人にしか分からないルールにしていないか。この3つを順番に見ていくと、やるべきことが意外と少ないことに気づく会社が多いです。
制度そのものの説明や判断は税理士の仕事ですが、社内のどこにどんな書類が散らばっているかを一緒に洗い出して整理する、という部分はRYDEENでもお手伝いできます。経理まわりを一度棚卸ししたい方は、お気軽にご相談ください。
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