会社をたたむ費用と手順 休眠会社という道も含めて考える
「会社をたたみたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」。周南市で経営相談を受けていると、こういう声はよく聞きます。借入の整理も気になるし、従業員や取引先にどう伝えるかも悩みどころです。今日は、廃業の手順と費用、そしてたたむ前に一度立ち止まって考えたいことをまとめます。
廃業を考え始めたら、まず整理すること
会社をたたむと決める前に、今の状態を紙に書き出す人が多いです。売上や利益だけでなく、借入残高、自分が保証人になっている借金、取引先との契約がいつまで続くか。ここを曖昧にしたまま進めると、あとで大きな手戻りが起きます。
よく聞かれるのが「もう赤字だから今すぐたたみたい」という相談です。気持ちは分かりますが、清算には時間もお金もかかります。急いで決める前に、資産をどう現金化するか、従業員にいつどう伝えるか、順番を決めておくと後が楽になります。
取引先や金融機関への連絡のタイミングも大事です。早すぎると混乱を招きますし、遅すぎると信用を落とします。この順番で悩む経営者は多く、専門家と一緒に整理していくケースがほとんどです。

会社をたたむ手順は、だいたいこの流れ
株式会社の廃業は、解散と清算という二段階を踏みます。まず株主総会で解散決議を取ります。議決権の3分の2以上の賛成が必要な特別決議です。決議から2週間以内に法務局へ解散登記を出します。
次に清算人を選びます。代表者がそのまま清算人になることが多いです。ここから債権者に向けて官報公告を出し、2ヶ月以上の期間を置きます。この期間中は清算を終わらせられません。ここでつまずく人が多く、「もっと早く終わると思っていた」という声をよく聞きます。
公告の期間が終わったら、財産の処分、債権の回収、債務の弁済を進めます。残った財産を分配し、清算人の報告を株主総会で承認してもらったら、清算結了の登記をして完了です。ここまで、早くても2〜3ヶ月はかかると考えておくといいです。
廃業にかかる費用はいくらか
登記にかかる登録免許税は、解散登記が3万円、清算人選任の登記が9千円ほど、清算結了の登記が2千円ほどです。2026年時点の目安なので、実際に進める際は法務局で必ず確認してください。
官報公告の費用は3万円台からで、行数によって変わります。これに加えて、司法書士や税理士に手続きを依頼すると、報酬として数十万円かかるのが一般的な目安です。会社の規模や資産の複雑さで大きく変わるので、複数の専門家に見積もりを聞いてみるといいです。
忘れがちなのが、在庫や設備の処分費用、賃貸オフィスなら原状回復の費用です。ここが思ったより高くつくケースは珍しくありません。廃業を決める前に、これらの費用も含めて見込んでおくと安心です。
休眠会社という選択肢
すぐに廃業の手続きをせず、事業だけ止めて登記上は会社を残す状態を休眠会社と呼びます。「とりあえず休ませて様子を見たい」という相談も多いです。
ただし、休眠会社にもコストはかかります。営業していなくても、法人住民税の均等割は原則としてかかります。年間数万円程度が目安ですが、自治体によって金額が違うので、市区町村の窓口で確認してください。
もうひとつ知っておきたいのが、みなし解散という制度です。株式会社は、12年間登記がない状態が続くと、法務大臣による公告を経て、みなし解散の扱いになります。会社法に定められたルールです。休眠のまま長く放置すると、自分の意思とは別のタイミングで整理されてしまうことがあります。
たたむ前に、譲る道も検討する
会社をたたむと、積み上げてきた技術や取引先、従業員の雇用もそこで終わります。廃業を決める前に、事業承継やM&Aで誰かに引き継ぐ道が残っていないか、一度確認する価値はあります。
小さな規模の会社でも、譲渡先が見つかるケースは実際にあります。従業員数人の会社、あるいは一人で回している事業でも、条件次第で話が進むことはあります。決めつけずに、まず可能性を探ってみるのがおすすめです。
参考までに、私たちRYDEENがM&A・事業承継の仲介を行う場合、相談自体は無料です。初期費用が50万円(税抜)、成功報酬は譲渡金額の10%から、最低100万円(税抜)です。取引が成立しなければ成功報酬はかかりません。料金を先に出しておくことを方針にしています。
自社に置き換えると
ここまで読んで、自分の会社に置き換えて考えてみてください。今の借入や保証は、たたんだ場合にどう清算されるのか、把握できているでしょうか。設備や在庫、不動産といった資産は、現金化するのか、それとも誰かに引き継いでもらうのか、まだ決めていないかもしれません。休業してしばらく様子を見るのか、この機会にたたむと決めるのか、その判断をいつまでに下すか、期限を自分の中で持てているでしょうか。
会社をたたむかどうかは、一人で抱え込んで決めるには重い判断です。廃業の手続きも、譲る道の検討も、まずは今の状態を一緒に整理するところから始められます。相談だけでも構わないので、迷っている段階で声をかけてもらえたらと思います。
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