社長の想像力が、会社の行く先を決める

「社長の意識」シリーズ、これでようやく書き終わりました。正直、かなりの力作だと思っています。今という時代は、中小企業の社長にとって本当に大事な時代です。この数年をチャンスの時代だと面白がるか、重荷だと感じるか。そこからもう経営は始まっています。

会社力は、結局は社長力

中小企業は、気まぐれな株主のご機嫌を取らなくていい。これは地味に大きな強みだと思います。社員のことだけを考えて経営できる会社は、実はそんなに多くありません。

社長のやり方ひとつで、社員がこの先豊かな人生を送れるか、ずっとキツい仕事を続けて疲れていくか。ここが分かれ道になります。なぜそうなるのか。中小企業は意思決定のルートが短いからです。大企業なら一つの判断に部長、取締役会、株主総会と何層も通ります。中小企業は社長が決めたらすぐ現場に落ちる。良くも悪くもスピードが出ます。だから責任も重い。

例えば、同じ商品を同じ値段で売っている二つの会社があるとします。一つは社長が「社員にいい暮らしをさせたい」と本気で思っている会社。もう一つは「今期の数字をどう乗り切るか」しか考えていない会社。たぶん数年後、この二つの会社の社員の表情はまるで違うものになっているはずです。

中小企業は、いろんな意味で大企業より大きな成長エンジンを持っていると思っています。ここに気づいている社長は、まだ少ない気がします。

想像する力がなければ、動き出せない

シリーズを書き終えて、経営で一番大事なものは何だろうと考えました。正解はわかりません。でも鍵は「想像力」、イメージする力にあるんじゃないかと思います。

自分の腹に落ちる経営の理念や戦略は、まず自分の頭の中で何かをイメージするところから始まります。これは個性と言ってもいいかもしれません。イメージがなければ、そもそも動き出せない。

「るろうに剣心」の登場人物たちを思い出します。それぞれの立場で、自分の想像のリミッターを外して、あの激動の時代を楽しんでいました。今の時代もよく似ている気がします。リミッターを外せた社長から、この変化を楽しめるようになる。

情報に振り回されると、想像力が死ぬ

想像力を考えるとき、気をつけたいのは情報への態度です。想像というのは、自分の頭と心で、自分の流儀で考えたり感じたりすることです。一番よくないのは、周りの情報に振り回されること。

基本的な情報は必要です。でも想像に要る情報は、実はそんなに多くない。情報をたくさん集めるより、今の時代をじっと見て、自分の頭で考え、自分の心で感じる。この方が効きます。あなたの会社の判断は、どちらから出ていますか。

リミッターを外すコツは「今はまだ」と考えることです。常に前を向く。できない理由を並べたら、何もできなくなります。「今はまだできていない。でもどうやったらできるか」。ここを一所懸命考える。それだけで前に進む力が湧いてきます。

決定までの距離 大企業 現場の社員 部長 取締役会 株主総会 中小企業 社長 現場 距離が短いほど、社長の想像力がそのまま会社の動きになる

一人の時間を持っていますか

自分の頭と心で考えるには、「慎独」が必要だと思っています。自分一人の時間と空間を大事にすることです。

会社からも家族からも離れて、毎日10分でも20分でも、自分だけの場所で自分一人で考える。周りの声にまどわされず、自分の声を聞く。

私はこの事業で何がしたいのか。誰の役に立ちたいのか。どう役に立ちたいのか。こういうことを、たまに立ち止まって考えてみてほしいです。

自社に置き換えると

今の自社の判断は、社長一人の想像から出発していますか。それとも、周りの情報や前例をなぞっているだけですか。社員は、この会社で働き続けて5年後、10年後に今より豊かになれると思えていますか。社長自身は最近、会社からも家族からも離れて、一人で考える時間をどれくらい持てていますか。

シリーズはこれで一区切りです。読み返すと、拙い文章だらけで恥ずかしくもあります。でも、この数年を面白がれるかどうかは、結局は社長の想像力にかかっている。そう思って、今日もまた一人で考える時間を作ろうと思います。

中小企業の、味方でいたい

周南の9人の若者が、地元の中小企業の現場に入って一緒に考えます。若者・バカ者・よそ者の会社です。

RYDEENについて

文・杉岡茂(初出:逍雲夜話 2021年7月「やっと終わった」を再編集)


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