BCP(事業継続計画)を1枚で作る方法 中小企業の災害・急病対策

「BCP 策定」で検索して、分厚いガイドラインやコンサル会社の資料を見て「うちには無理だ」と思った方、多いと思います。事業継続計画という言葉だけで身構えてしまいますが、中小企業がまず作るべきものはもっと単純です。台風で停電した、社長が倒れて入院した、そんな時に「誰が何をするか」を1枚にまとめておくだけで、被害の大きさはかなり変わります。

BCP(事業継続計画)は分厚い書類じゃなくていい

中小企業庁のBCP策定運用指針を開くと、リスク分析から復旧目標時間まで項目がずらっと並んでいます。あれを全部埋めようとすると、たいてい途中で止まります。実際に相談を受けていても、「BCPを作りましょう」と言うと固まってしまう経営者が多いです。

大企業のBCPは取引先や株主に説明する資料としての側面もあります。従業員10人前後の会社なら、まず必要なのは「災害が起きた瞬間に誰が何をするか」を書いた紙1枚です。連絡先、代わりの人、最低限守るお金の流れ。この3つが決まっていれば動けます。

災害が起きたとき、最初に困ることは決まっている

地震や台風で被災した会社の話を聞くと、困ることは毎回似ています。まず従業員と連絡が取れません。次に、請求書や顧客データがどこにあるか分かる人が限られています。最後に、取引先に営業できない状態をいつまで説明しないでいいか、判断がつかなくなります。

例えば、社屋が浸水して1週間営業できなくなったとします。この時に困るのは被害の大きさそのものより、「誰に何を伝えればいいか分からない」ことです。取引先には状況を説明しないと発注が他に流れますし、従業員には出社の可否を伝えないと不安が広がります。

1枚のBCPには、緊急連絡網(携帯番号と担当を書いた表)、データのバックアップ場所(クラウドかUSBか、誰が持ち出すか)、取引先への一次連絡の文面、この3つを先に書いておきます。

経営者本人が倒れたら?急病・労災対応も同じ発想で

災害だけでなく、経営者自身の急病も立派なBCPの対象です。ここでつまずく人が多いんですが、「自分が倒れたらどうなるか」を考えたことがない社長は本当に多いです。実印の場所、通帳、取引先との交渉権限、誰にも引き継いでいないケースをよく見ます。

労災対応も同じ考え方で準備しておくと慌てません。従業員が現場でケガをした場合、労働基準監督署への報告、労災保険の給付申請、家族への連絡、この順番を事前に紙に書いておくだけで、当日の混乱がかなり減ります。労災の詳しい手続きは社会保険労務士に相談するのが確実ですが、「誰がまず何をするか」の初動だけは自社で決めておけます。

急病で経営者が1週間動けなくなった場合の代理決裁者、判子の保管場所、資金繰りの最低限の把握、この3点は今日中にでもメモしておける内容です。

クレーム対応も「決めておく」だけで変わる

BCPというと災害ばかりイメージしますが、クレーム対応の初動を決めておくこともBCPの一部です。大きなクレームや事故が起きた時、誰が矢面に立つか決まっていないと、対応が遅れて問題が大きくなります。

例えば、納品したものに不具合が見つかって取引先から連絡が来たとします。担当者が休みで、誰も一次対応できません。その間に相手の不満はどんどん膨らみます。窓口になる人とその代理を最初から決めておくだけで、初動のスピードが変わります。

クレーム対応の担当者、休日や夜間の連絡フロー、社長への報告基準(金額や内容でどこから報告するか)、この3つも1枚のBCPに含めておくと安心です。

1枚のBCPの作り方(順番)

作り方は難しくありません。まずA4の紙1枚かファイルを1つ用意して、次の順番で埋めていきます。

1つ目は緊急連絡先です。従業員、主要な取引先、金融機関、労働基準監督署の連絡先をまとめておきます。2つ目は代理を務める人です。社長が動けない時に代わりに判断する人と、担当者が不在の時の窓口を決めておきます。3つ目は当面使えるお金です。数日から数週間、支払いに回せる現金や口座を確認しておきます。4つ目はデータの置き場所です。請求書や顧客情報のバックアップがどこにあり、誰が持ち出せるかを書いておきます。5つ目はクレームや事故が起きた時の初動です。誰が電話を取り、どこまでを社長に報告するか、順番を決めておきます。

全部を一度に完璧にする必要はありません。今分かる範囲でまず埋めて、半年に1回見直す。これだけで、何もないよりずっとましです。

自社に置き換えると

自分の会社で今すぐ確認してほしいことがあります。社長や自分に何かあった時、代わりに判断できる人はいますか。従業員の緊急連絡先は、今この場ですぐ出せますか。クレームが来た時、最初に電話を取るのは誰と決まっていますか。

この3つがすぐ答えられないなら、それがまだBCPが1枚もできていないサインです。

RYDEENでは、こうした1枚のBCP作りも、経営者の方と一緒に整理するお手伝いをしています。何から手をつければいいか分からない場合は、まず今の状況を聞かせていただくところから始められます。

中小企業の、味方でいたい

周南の9人の若者が、地元の中小企業の現場に入って一緒に考えます。若者・バカ者・よそ者の会社です。

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