立夏の朝、経営者はどこまで体を管理すべきか

新暦だと5月5日ごろ、立夏です。夏の最初の節気で、北半球がいよいよ夏に向かう合図なんだそうです。田んぼに水が入って、カエルが鳴き始める。新緑がまぶしくて、風がやわらかい。一年でいちばん気持ちのいい季節かもしれません。ただ経営者にとってこの時期は、体のリズムを立て直す節目でもあると、私は思っています。

立夏、体が変わるとき

立夏は夏の入り口です。農作物がすくすく育ち始める頃で、紫外線も一年でいちばん強くなってくる。季節がはっきり切り替わる、数少ないタイミングです。

春先は決算やら人事異動やら、経営者は無理を重ねがちです。忙しさに紛れて、その無理をそのまま夏に持ち越してしまう。これがけっこう厄介です。体はもう夏モードに切り替わっているのに、働き方だけ春のままだと、どこかで帳尻を合わせることになります。

季節が変わるということは、体の負荷のかかり方も変わるということです。夏バテという言葉がありますが、経営者にも似たようなものがある気がします。無理の蓄積に気づかないまま、7月8月に判断力が落ちてくる。立夏はその手前で、一度リズムを見直せという合図なのかもしれません。

早寝早起きと、紫外線の話

夏は昼が長くて夜が短い。だから睡眠不足になりがちです。原文にもある通り、日の出とともに起きることから始めて、気力を保つために適度な昼寝をするのがいいらしい。紫外線対策も、この時期から気を使ったほうがいい。

なぜ早起きなのか。単純な話で、朝のほうが頭が回るからです。商談も、値決めも、人を叱る場面でさえ、朝と深夜とでは判断の質がまるで違います。経営者の体力は、会社にとってひとつの経営資源です。ここが枯れると、他がどれだけ整っていても判断が鈍ります。

例えば、深夜まで見積書を直して、寝不足のまま朝一の商談に出るとします。頭の回転が鈍くて、いつもなら押し返せる値下げ交渉を、つい飲んでしまう。後から振り返って「なんであそこで折れたんだろう」と悔しくなる。こういうこと、身に覚えがある方も多いんじゃないでしょうか。

直近1週間、何時に寝て何時に起きたか、すぐに答えられますか。案外、覚えていない経営者のほうが多い気がします。

赤いものを食べて、心を養う

この時期はトマトやクコの実など、赤い食べ物がいいそうです。リコピンの抗酸化力は最近よく話題になりますし、抗ガンやアンチエイジングにも効くらしい。暑くなると冷たいものに手が伸びますが、えびやコーヒーで体を温めることも忘れずに、という話でした。

陰陽五行では夏は「火」に属して、心臓と関係が深いそうです。夏は心の陽気がいちばん盛んになって、汗もたくさんかく。気を消耗しやすいので、陽気を守って心を養うことが大事になる、と原文にはあります。

これ、経営にもそのまま当てはまる気がしています。忙しい時期ほど、気を使いすぎて消耗する。売上が上がっている時期ほど、実は一番エネルギーを吐き出している。トマト一個食べたところで劇的に何かが変わるわけじゃないですが、小さな習慣を意図的に差し込む発想そのものは、経営にも要る気がします。

原文には手を交差させて体を伸ばす導引式のことも書いてありました。難しい理屈は抜きにして、要は一日のどこかで体を伸ばす時間を強制的に作れ、ということだと私は受け取っています。忙しいから後回し、で一番後回しにされるのがこの手の時間です。

自社に置き換えると

自分やスタッフの働き方は、もう夏仕様に切り替わっていますか。春のペースのまま突っ走っていないか、一度確認してみてほしいです。忙しい時期ほど休憩や早寝を後回しにしていないか、直近の自分の生活を思い出してみてください。体を伸ばす、赤い食べ物を選ぶ、そういう小さな習慣を、意図して日々に組み込めているか。組み込めていないなら、何がそれを邪魔しているのか、考える価値はあると思います。

季節の変わり目に体をいたわるという、昔からの知恵です。当たり前すぎて誰も改めて言わないけれど、経営者ほど後回しにしがちな話でもあります。立夏のこの時期、まずは早く寝ることから始めてみませんか。

中小企業の、味方でいたい

周南の9人の若者が、地元の中小企業の現場に入って一緒に考えます。若者・バカ者・よそ者の会社です。

RYDEENについて

(初出:逍雲夜話 2023年5月「立夏 七/二十四節気」・文 杉岡茂を再編集)


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