決算書の見方は5つの数字だけでいい 社長が現場で使う指標
決算書を渡されても、どこを見ればいいか分からない、という相談はよくあります。数字がびっしり並んでいて、忙しい社長は最後まで目を通さずに、顧問税理士に「大丈夫ですか」と聞いて終わることも珍しくありません。実は見るべき数字はそんなに多くないんです。今日は5つに絞ってお話しします。
決算書は3枚組。まず全体をつかむ
決算書 見方の基本は、まず全体の構成を知ることです。決算書は大きく分けると、損益計算書と貸借対照表の2枚と考えて差し支えありません。ほかに付随する書類もありますが、社長がまず見るのはこの2枚です。
損益計算書 見方は、1年間の成績表だと思ってください。売上がいくらあって、経費を引いていくら残ったか。1年ごとにリセットされる数字です。
貸借対照表 見方は少し違います。ある1日、たいてい決算日の時点で、会社にどれだけの財産があって、どれだけの借金があるかを写した1枚の写真です。今まで積み上げてきたものが全部乗っています。
決算書 見方に慣れないうちは、先に損益計算書、そのあとに貸借対照表という順番で見ることをおすすめしています。今年どうだったかを確認してから、これまでの積み重ねを確認する、という流れの方が頭に入りやすいです。
この2枚を、成績表と財産の写真、と分けて捉えるだけで、決算書はぐっと読みやすくなります。

粗利率は商売の元気度を映す
まず見るのが粗利率です。売上高から仕入れや原価を引いた粗利益を、売上高で割った数字になります。
粗利率 目安は業種でかなり幅があります。例えば、製造業だと20〜30%台、卸売業だと15%前後になることが多いです。サービス業や一部の小売では50%を超えることも珍しくありません。
よく聞かれるのが「うちの粗利率は高いのか低いのか」という質問です。答えは、自社の過去の数字と比べること、それから同業他社の水準と比べることです。単独の数字だけでは判断がつきません。業種ごとの目安は、商工会や信用金庫が出している経営指標の資料でもある程度確認できます。
粗利率が年々下がっているなら、値引きが増えているか、仕入れコストが上がっているか、どちらかが起きています。ここを放置している会社を何社も見てきました。
労働分配率で人件費の重さを測る
限界利益とは、売上高から変動費を引いた残りのことです。変動費というのは、売上に比例して増減する費用で、仕入れ費や外注費、材料費などを指します。粗利益とほぼ同じ意味で使われる場面も多いです。
労働分配率は、人件費を限界利益で割った数字です。会社が稼いだ儲けのうち、どれだけを人件費に回しているかを表します。
労働分配率 目安は、中小企業では50〜60%台に収まっていると安定していると言われることが多いです。飲食業や小売業は人手がかかる分、この数字が高く出やすい業種です。
ここでつまずく人が多いのが、賞与や退職金の積立を人件費に含め忘れることです。社会保険料の会社負担分も含めて計算しないと、実態より低く出てしまいます。
労働分配率が70%を超えているようなら、値上げの余地がないか、作業のやり方を見直せないか、というところから考え始めることが多いです。急に人を減らすという話には、普通なりません。
自己資本比率は会社の体力
ここからは貸借対照表 見方の話です。貸借対照表は資産、負債、純資産の3つに分かれています。資産が会社の持ち物、負債が借金、純資産がこれまでの利益の積み重ねと株主が入れたお金です。
自己資本比率は、純資産を総資産で割った数字です。会社の財産のうち、借金に頼らず自分の力で持っている割合を示します。
自己資本比率 目安は、30%を超えていれば一般的に安定していると評価されます。50%を超えると財務の厚みがあると見られやすいです。逆に10%を切ってくると、借入への依存が強く、金融機関からの評価にも影響が出てきます。
例えば、自己資本比率が5%だとします。ちょっとした赤字が続くだけで、純資産がマイナスになる、いわゆる債務超過に近づいてしまいます。この比率は、会社がどれだけ持ちこたえられるかを示す体力の数字です。
経常利益率と手元資金――残り2つ
5つ目、6つ目は経常利益率と手元の現預金です。経常利益率は、本業の利益に借入金利息などの財務活動を合わせた利益を、売上高で割った数字です。5%あれば健全と言われることが多いですが、業種差はあります。
手元の現預金は、月商の1〜2か月分あるかどうかを見ます。売上が急に落ちても、しばらく持ちこたえられるかどうかの目安です。利益が出ていても、現金が手元になければ支払いは止まります。黒字倒産という言葉があるのはこのためです。
ここまでの5つ、粗利率、労働分配率、自己資本比率、経常利益率、手元の現預金を押さえておけば、決算書を渡されたときに何を見ればいいか迷わなくなります。
自社に置き換えると
手元の決算書を開いて、まず粗利率を計算してみてください。去年と比べて上がっていますか、下がっていますか。
次に労働分配率です。人件費が限界利益の何割を占めているか、計算したことがありますか。
最後に自己資本比率です。今の会社は、何年赤字が続いても持ちこたえられる体力がありますか。この3つの問いに、数字ですぐ答えられるかどうかで、決算書を読めているかどうかが分かります。
決算書の数字は、慣れてしまえば怖いものではありません。RYDEENでは、決算書の数字を経営者の方と一緒に整理しながら、会社の状態を確認するお手伝いをしています。数字の意味が分からず止まっているなら、一度話してみてください。
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