親の会社の決算書、どこを見れば状態が分かるか 決算書の見方の基本
親の会社を継ぐかどうか考え始めたとき、実家の引き出しから決算書を出してみた、という方は多いです。ただ数字が細かく並んでいるだけで、どこから見ればいいのか分からず、そのまま閉じてしまったという相談もよく受けます。決算書の見方は難しい専門知識というより、いくつか決まった場所を順番に見ていくコツです。今日はその順番を説明します。
まず「儲かっているか」を損益計算書で見る
決算書の中でまず開いてほしいのが損益計算書です。略してPLと呼ばれることもあります。1年間でいくら売上があって、いくら利益が残ったかを表す書類です。
上から順に、売上高、売上原価、売上総利益(粗利)、販売費及び一般管理費、営業利益と並んでいます。ここで一番大事なのは営業利益です。本業でちゃんと利益が出ているかが分かります。
例えば、売上が3億円で営業利益が1000万円だとします。利益率は3%ほどです。この数字が業界の平均より高いか低いかで、経営の状態がだいぶ見えてきます。平均がどのくらいかは業種によって違うので、同業他社の数字と見比べてみてください。
営業利益の下には、経常利益と当期純利益も載っています。経常利益は本業以外の利息や配当も含めた利益、当期純利益は税金を払った後に最終的に残った利益です。ここで急に赤字になっていたら、本業ではなく借入金の利息負担が重いなど、別の原因を疑ってみてください。

「借金と資産のバランス」を貸借対照表で見る
次に見てほしいのが貸借対照表です。BSと呼ばれることもあります。決算日時点で、会社が何をどれだけ持っていて、その分のお金をどこから調達したかを表す書類です。
右側が負債(借金)と純資産(自己資本)、左側が資産です。ここでよく見られるのは自己資本比率です。純資産を総資産で割った数字で、会社の体力を表します。目安として20%を下回ると借入への依存度が高いと言われますが、業種や設立からの年数でかなり差が出るので、断定はできません。同業の水準と比べてみるのが一番実感がわきます。
資産の中身も見てください。現金や預金のほかに、売掛金や在庫、不動産などが並んでいます。売掛金が異常に多く増えていたら、回収が滞っている取引先があるかもしれません。在庫が積み上がっていたら、売れ残りが増えている可能性があります。
現金がどれだけ残っているかを見る
損益計算書で利益が出ていても、手元の現金が減り続けている会社があります。ここでつまずく方が実は多いです。利益と現金は別物だからです。
売上が計上されていても、まだ入金されていない売掛金の状態のままなら、手元の現金は増えません。反対に、借入金を返済すれば利益には関係なく現金は減ります。この差でお金が回らなくなることを、よく黒字倒産と呼びます。
決算書に現金預金の残高がいくら載っているか、前の年と比べて増えているか減っているか。これだけでも状態はだいぶ分かります。キャッシュフロー計算書がついていれば、営業活動でどれだけ現金を稼いだかも確認してみてください。
役員借入金・役員貸付金をチェックする
中小企業の決算書でよく出てくるのが、役員借入金と役員貸付金です。社長が会社にお金を貸している状態を役員借入金、逆に会社が社長個人にお金を貸している状態を役員貸付金と呼びます。
資金繰りが厳しい時期に社長個人のお金で穴埋めしてきた会社では、役員借入金がかなりの金額になっていることがあります。これは相続や事業承継の場面で問題になりやすい項目です。会社への貸付金は、社長本人の相続財産として扱われるからです。
逆に役員貸付金が大きい場合は、会社のお金が個人のために使われている状態が続いている可能性があります。金融機関からの評価にも影響しますので、金額の大小だけでなく、なぜその金額になっているかを聞いてみるとよいです。
3期分を並べて流れを見る
1年分の決算書だけを見ても、それが良い状態なのか悪い状態なのか判断しづらいことがあります。できれば3期分、可能なら5期分を並べて、売上・利益・借入金の推移を見てください。
売上が横ばいでも利益が年々減っているなら、原価や経費の使い方に変化が起きています。借入金が増え続けているのに現金があまり増えていないなら、返済のために新たに借りている状態かもしれません。単年ではなく流れで見ることで、数字の裏にある事情が見えてきます。
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