補助金と銀行借入を組み合わせるとき、返済は何年で組むか

設備投資に補助金を使う予定がある。決まると次に出てくるのが、銀行からの借入をどう返していくかという話です。相談に来た社長からも、この質問はよく出ます。補助金は先にお金がもらえる仕組みではありません。ここの順番を勘違いすると、あとで資金繰りが苦しくなります。

補助金は「後払い」だと考える

補助金は、決定した瞬間にお金が入るわけではありません。工事や設備の導入が終わり、実績報告を出したあとに、ようやく振り込まれます。ここで最初につまずく会社は少なくありません。

設備代は、いったん全額を自分で用意する必要があります。銀行から借りる場合も、補助金の分まで含めて先に借りることになります。ある建設会社の相談でも、最初はこの順番の確認から始まりました。

「補助金が出るから、その分は借りなくていい」と考えてしまうと、支払いのタイミングで資金が足りなくなります。補助金の入金まで半年から1年ほどかかることも、珍しくありません。

入金後、繰上返済か、返済額を減らすか

補助金が実際に口座に入ったら、選択肢は大きく二つあります。一つは、その分を繰り上げ返済に回して、借入の残高を早めに減らす方法。もう一つは、毎月の返済額そのものを見直して、負担を軽くする方法です。

どちらが良いかは、会社の状況で変わります。売上が安定していて手元資金に余裕があるなら、繰上返済で利息を減らす選択肢が使える場合があります。逆に当面のキャッシュフローに不安があるなら、返済額を下げて余力を残す考え方もあります。

銀行とは、補助金が入る前の段階で相談しておくと話が早いです。入金してから急に持ちかけると、手続きに時間がかかることもあります。繰上返済に手数料がかかる契約もあるので、そこも事前に確認しておきたいところです。

10年・15年・20年で並べてみる

ここで具体的なイメージを持つために、仮の数字で考えてみます。設備投資に1億円かかる会社があるとします。返済期間を10年、15年、20年で比べると、毎月の負担と支払う利息の合計に、はっきり違いが出ます。

返済期間を短くすると、毎月の負担は重くなりますが、支払う利息の総額は少なくなります。長くすると、毎月は楽になりますが、利息の総額は増えていきます。仮に毎月の返済額が10年案で80万円、15年案で55万円、20年案で35万円だとすると、支払う利息の総額は10年案が一番少なく、20年案が一番多くなる、という関係です。

返済期間による負担の違い(仮の数字) 数字はイメージです 10年案 15年案 20年案 毎月の返済額(高さ) 支払う利息の総額(高さ)

どの案が良いかは、一概には言えません。事業計画の確からしさや、他の借入とのバランスも関わってきます。この比較を、損益計画とキャッシュフロー計画に当てはめて、実際に返せる水準かどうかを確認する作業が必要です。

返済期間は、設備の寿命と銀行の目線で決まる

気をつけたいのが、設備の耐用年数との関係です。返済期間を、その設備が実際に使える年数より長く組んでしまうと、設備を使い終わったあともローンだけが残る状態になります。

これでは、次の投資に踏み出しにくくなります。新しい設備が必要になっても、前の借入が終わっていなければ、銀行も新しい融資には慎重になります。

銀行が審査で見ているのは、営業利益に減価償却を足した金額で、その年の返済額をまかなえるかどうかです。返済の初期に数字が厳しく見える計画でも、その後の改善見通しを示せれば、理解を得られる場合があります。ただしこの見通しの根拠が薄いと、銀行はより長めの返済期間を求めてくることもあります。見積書や既存の受注実績など、計画を裏付ける資料をそろえておくと話がスムーズです。税務や会計の扱いについては、税理士に確認しておくと安心です。

自社に置き換えると

この設備は、何年くらい現役で使うつもりでしょうか。その年数と、いま検討している返済期間を並べてみると、どちらが長いでしょうか。補助金が入金されるまでの間、資金は持ちこたえられるでしょうか。営業利益に減価償却を足した金額で、毎年の返済額をまかなえそうか、一度手元の数字で確かめてみてください。

補助金と銀行借入を組み合わせる場面は、これから増えていくはずです。返済期間は、月々の負担だけで決めるものではありません。設備がいつまで使えるか、会社の返済余力がどれくらいあるか。その両方から逆算して考えると、無理のない計画に近づきます。迷ったときは、複数の返済期間案を並べて銀行に相談してみるのも一つの方法です。

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