立春に、社長こそ体を整えたほうがいいと思う理由

暦の上ではもう春、なのに外は真冬

二十四節気の最初、立春がやってきます。毎年だいたい2月4日。この日から暦の上では春です。前日は豆をまいて邪気を払う、節分。「節を分ける」と書くとおり、新しい年を迎える準備をする日です。

旧暦では、正月がだいたいこの立春のあたりに来ていました。だから立春は、春の始まりであると同時に、一年の始まりでもあったわけです。今の感覚だと、この時期ってまだ普通に寒いですよね。むしろ寒さのピークじゃないかと毎年思います。でも暦のうえではここから、寒さがゆるみ始める。生き物たちが、こっそり春じたくを始める頃なんだそうです。

梅が咲き、ウグイスが鳴く。春が戻ってくる予感に、少しだけ暖かさを感じる。春の足音というのは、たぶんこのあたりから聞こえ始めるんだと思います。

陽気は、もう体の中で動き出している

立春を過ぎると、天地の生気がふたたび萌えはじめて、万物が栄えていく。厳冬期のあいだ息をひそめていた陽気が、また人の体の内側から台頭してくる。そう言われています。春の養生では、この陽気の台頭や万物の成長に、こちらの体もちゃんと合わせていくことが大事だとされます。気功の世界では、立春の導引は手少陽三焦の経絡を中心に行う、というのが決まりごとです。

養生というのは、要するに「生を養う」こと。病気にならないための構えです。その手段として一番大事なのが気功導引で、体の内側の気を整えること、これを内気功と呼びます。その季節その季節の気に、自分の気を合わせていく。それで季節の変化に順応して、体調を保つ。理屈としてはシンプルです。

社長の体調は、経営資源だと思っている

ここからは、養生の話を自分の仕事に引きつけて考えてみます。会社を経営していると、季節の変わり目に無理をしがちです。冬のあいだ縮こまっていた体のまま、春が来たとたんにフルスロットルで動こうとする。例えば、ずっと屈伸もせずに座っていた足で、いきなり全力疾走したら、たぶん足がつります。会社の経営も似たところがあって、力を溜めていた時期からいきなり全開にすると、どこかで無理が出る。

これは根性の話ではなくて、たぶん順番の問題です。陽気は「もう台頭し始めている」段階であって、「もう全開になっている」段階ではありません。経営者の体調管理を、単なる自己管理の話だと思っている人は多い気がします。でも社長が一人で倒れたら、会社はふつうに止まります。特に人数の少ない会社ほど、社長の体そのものが資本です。無理を重ねて体を壊すのは、整備しないまま機械を動かし続けるのと、あまり変わらない気がします。

陽気の高まり方 厳冬期 陽気は地中でひそむ 立春 陽気が台頭を始める 春本番 万物が栄えていく

季節が段階を踏んで動いていくように、経営のリズムにも、力を溜める時期と、動き出す時期と、本番の時期があります。今の自分がどの段階にいるか、たまに立ち止まって確かめてみるのも悪くないはずです。

春を先取りする食卓

養生を考えるうえで、気功と並んで大事なのが食事です。食卓に旬の食材や、春を感じさせる器を用意してみる。それだけでも、体はけっこう素直に反応してくれます。鰆の味噌焼き、大豆入りのひじき煮、菜の花のくるみ和え、ゴボウと豆腐の赤だし。こういう献立が、この時期はしっくりきます。特別なことをしなくていい。旬のものを、旬のうちに食べる。それだけで十分な気がします。

自社に置き換えると

自分の会社に置き換えて、ちょっと考えてみてほしいことがあります。今の自分の体調管理は、後回しになっていないか。社員にも、季節の変わり目に無理をさせていないか。そして、一年のどこかに「区切り」を作れているか。立春のように、ここから動き出すと決める日を、自分の会社は持っているでしょうか。

立春はまだ寒い日です。でも、陽気はもう動き出している。それに気づけるかどうかは、たぶん自分の体と会社の状態を、ふだんからどれだけ見ているかにかかっています。今年の立春、ぼくはひじきと大豆の煮物でも作ってみようと思います。

中小企業の、味方でいたい

周南の9人の若者が、地元の中小企業の現場に入って一緒に考えます。若者・バカ者・よそ者の会社です。

RYDEENについて

・文 杉岡茂(初出:逍雲夜話 2023年2月「立春 一/二十四節気」を再編集)


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