親に会社のことを聞けないまま帰省が続く人へ、事業承継は元気なうちに話す

実家に帰るたびに、会社の話をどこかで切り出そうと思っています。でも、お茶を飲んで近況を話しているうちに、気づけば新幹線の時間になっています。親は元気そうに見えるし、今日じゃなくてもいいかと思ってしまいます。その繰り返しで、もう何年も経っている方が多いです。

私たちは山口県周南市で中小企業の現場に入る仕事をしています。相談の入り口で一番多いのが、この「切り出せない」という悩みです。制度や手続きの前に、まず親子の会話が止まっているケースをたくさん見てきました。

帰省のたびに「言えなかった」で終わる理由

切り出せない理由を聞くと、だいたい同じ答えが返ってきます。「まだ元気だから今じゃない」「会社の話をすると弱っていると思われそうで嫌がる」「継ぐとも継がないとも言っていないのに、いきなり承継の話は重い」。どれも自然な気持ちです。

ここでつまずく人が多いのは、事業承継の話を「跡を継ぐか継がないか」の一点勝負だと思い込んでしまうことです。実際はそこに至るまでに、決めることがたくさんあります。誰に継がせるか、社員はどうするか、借入や個人保証はどうするか、親自身の生活資金はどうするか。一気に全部決めなくていいのですが、話し始めないと何一つ動きません。

親の側にも言い出せない事情があります。「息子や娘に継げとは言いにくい」「継がないなら会社をたたむのか売るのか、自分でもまだ分からない」。子どもが黙っているのと同じ理由で、親も黙っていることが少なくありません。

なぜ「元気なうち」がそんなに大事なのか

事業承継の相談で必ず伝えていることがあります。判断力と体力がある間にしか、選べる選択肢は増えないということです。急に体調を崩してから承継の話が始まると、選べる後継者候補も、準備にかけられる時間も、一気に狭くなります。

例えば、親が65歳で元気に働いている状態と、75歳で入院を経験した後の状態を比べるとします。同じ「会社を任せたい」という気持ちでも、動ける準備期間の長さがまるで違います。取引先への引き継ぎ、社員との信頼づくり、後継者の育成、どれも時間がかかる作業です。

中小企業庁の資料でも、事業承継の準備には数年から十年程度かかる場合があると言われています。年度によって統計や支援策の中身は変わりますので、細かい数字は必ず最新の情報で確認してください。ここで押さえておきたいのは、期間の長さそのものより、「元気なうちに始めた方が選べる道が多い」という一点です。

いきなり本題を切り出さなくていい、聞き方のコツ

「会社どうするの」と正面から聞くと、身構えられて終わることが多いです。よく聞かれる相談として、もう少し軽い切り口から始める方法をお伝えしています。

例えば、「最近、体調はどう」「取引先の〇〇さんとはまだやり取りあるの」といった、日常の延長にある質問から入るやり方です。答えの中に、親が今どこまで考えているかのヒントが混ざっています。「あと数年で辞めようと思っている」「誰かに継いでほしいけど言い出せない」、そういう本音がぽろっと出てくることがあります。

一度で全部決めようとしないことも大事です。1回目は現状を聞くだけ、2回目で気持ちを聞く、3回目で具体的な話に進む、くらいのペースで十分です。年に数回しか帰らないなら、帰るたびに少しずつ話題を進める、というつもりで構いません。

事業承継までにかかる時間の目安

親子で話が進み始めても、そこから完了までは意外と長い道のりです。ざっくりとした流れで言うと、まず現状の整理(会社の財産や借入、社員の状況の把握)、次に後継者の検討、そこから育成や引き継ぎの実行、という順番になります。

現状の整理 財産・借入・社員 後継者の検討 親族・社員・第三者 育成・引き継ぎ 取引先・社員との関係 承継完了 経営交代 準備には数年から十年程度かかると言われています (年度により目安は変わります。最新情報を必ず確認してください) 元気なうちに開始 選択肢を残したまま完了

親族に継がせる場合も、社員に継がせる場合も、第三者に譲る場合(M&Aと呼ばれる方法です)も、この大まかな流れ自体はあまり変わりません。違うのは、それぞれの段階でかかる時間と、関わる人の数です。第三者への譲渡は、相手探しから条件のすり合わせまで、想像より時間がかかることがあります。

税金面での優遇制度(事業承継税制など)を使える場合もありますが、対象になる条件や手続きの期限が細かく決まっています。2026年時点の制度内容も年度で見直しが入りますので、検討する段階になったら必ず最新の公募要領や制度概要を確認してください。

相談する相手をどう選ぶか

親子だけで話していると、感情が先に立ってしまい、話が堂々巡りになることがあります。ここで税理士や弁護士、金融機関、事業承継の専門家といった第三者を間に入れると、話が前に進みやすくなります。

ただし専門家に丸ごと任せて終わり、という進め方はおすすめしません。税務の細かい手続きや契約書の作成は、税理士や弁護士など資格を持つ専門家の領域です。私たちのような立場でできるのは、そこに至るまでの現状整理や、親子・社員との対話の橋渡しを一緒に進めることです。誰に何を相談すればいいか分からない、という段階から関わることが多いです。

自社に置き換えると

ここまで読んで、自分の状況に当てはめて考えてみてください。親は今、会社のことをどこまで自分の頭の中で決めているでしょうか。次に帰省したとき、いきなり本題ではなく、どんな一言から話を始められそうでしょうか。そして、今のタイミングを逃したら、いつまた話す機会があるでしょうか。

この3つに答えが出ない状態が、一番危ういです。答えが出ないこと自体は普通のことですが、答えを探し始めるかどうかで、数年後の選択肢が変わってきます。

合同会社RYDEENでは、M&A・事業承継の相談を承っています。相談自体は無料です。実際にご依頼いただく場合は初期費用50万円(税抜)、成功報酬は譲渡金額の10%から・最低100万円(税抜)で、取引が成立しなければ成功報酬はかかりません。料金を先にお伝えする形にしていますので、「まず話を聞いてみたい」という段階でお問い合わせください。

会社の先を、考えはじめたら

後継者のこと、株のこと、社員の雇用のこと。まだ決めていない段階のご相談がいちばん多いです。社名を伏せたままで構いません。

会社を譲ることを考えはじめた方へ

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