兄弟の事業承継で温度差があるとき、誰が決めるのか

「兄は継ぐ気満々だけど、弟は正直どうでもよさそうにしている」。こういう相談を、周南市内の会社さんからもよく受けます。兄弟で温度差があると、話し合いの場を持つこと自体が気まずくなって、結局誰も切り出さないまま時間だけが過ぎていきます。検索で「兄弟 事業承継 揉める」とたどり着いた方は、もう何となく嫌な空気を感じ取っているはずです。

温度差があるのは、実はめずらしくありません

兄は会社の中で働いていて、弟は別の業界にいる。あるいは逆に、弟の方が早くから現場に入っていて、兄は跡を継ぐ気がない。こういう組み合わせは珍しくありません。ここでつまずく人が多いのは、「兄弟なんだから話せばわかる」と思い込んでいるところです。

血のつながりがあると、逆に話しにくくなることがあります。仕事の話のつもりが、子どもの頃からの関係性まで持ち出されてしまう。親が生きているうちは特に、親を気遣って本音を言わない兄弟も多いです。

例えば、兄が工場の現場を長年支えていて、弟は東京で会社員をしているとします。親から見れば「兄に継がせたい」でも「弟にも株を渡さないと不公平」という気持ちがあって、決めきれずにいる。こういう相談、実際によくあります。

揉める原因の多くは「決め方」を決めていないことです

兄弟で揉める会社を見ていくと、意見が食い違うこと自体が原因ではないケースが多いです。誰がどうやって最終的に決めるのか、そのルールがないまま話し合いが始まってしまうことが原因になっています。

社長である親が「最後は自分が決める」と言うのか、「兄弟で話し合って決めてほしい」と言うのか。この立ち位置がはっきりしないまま何年も話が宙に浮いている会社を、何社も見てきました。

株式の持ち分についても同じです。兄に経営権を集めるのか、兄弟で分けるのか。分けた場合、経営に関わらない弟の株はどう扱うのか。ここを曖昧にしたまま社長交代だけ進めると、数年後に配当や意思決定の場面で必ずと言っていいほど引っかかります。

誰が決めるのか——現経営者・後継者本人・第三者

基本的には、今の経営者、つまり親が方向性を示す役目を持っています。ただし親が「決める」と「兄弟に選ばせる」を行き来してしまうと、兄弟は互いの顔色をうかがうだけになってしまいます。どちらの立場で臨むか、親自身が先に決めておく必要があります。

後継者本人の意思も無視できません。継ぐ気のない方に無理に継がせても、数年で行き詰まる例は少なくありません。逆に、継ぐ気のある方が「兄弟に遠慮して」名乗り出られずにいることもあります。この場合は、遠慮している側の背中を押す誰かが必要です。

この「誰かの役目」を、家族の中の誰かにやらせようとすると、余計に揉めます。長男が仕切ろうとすれば「勝手に決めるな」となりますし、母親が間に立てば「お母さんは兄びいきだ」と言われることもあります。ここで、税理士や商工会、あるいは私たちのような第三者を間に入れて話を整理する会社が増えています。当事者ではない人が進行役に入るだけで、話がずいぶん前に進みます。

具体的にどう進めるか

いきなり「誰が継ぐか」を話し合っても平行線になりがちです。まず現状を紙に書き出すところから始めるとうまくいきます。株の持ち分、役員報酬、会社の借入金の個人保証、不動産の名義。ここを一覧にするだけで、感情論から少し距離を置いて話せるようになります。

次に、本音を聞く場を分けて作ります。兄弟同席の場と、それぞれ個別に話を聞く場、両方あった方が本音が出やすいです。同席の場だけだと、兄弟のどちらかが遠慮して黙ってしまうことがよくあります。

役割と持分の整理ができたら、話し合った内容を必ず書面に残します。口約束のまま代替わりして、後から「言った・言わない」になる会社を何度も見てきました。遺留分への配慮が必要な場合は税理士や弁護士の判断が必要になりますので、専門家と一緒に確認してください。

中小企業の、味方でいたい

周南の9人の若者が、地元の中小企業の現場に入って一緒に考えます。若者・バカ者・よそ者の会社です。

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